元国税調査官・税理士の松嶋です。
税務雑誌等から注目すべき税務記事を紹介します。
2023年03月06日 税のしるべより。

先日も述べた、ムゲンエステート事件の判決文が掲載。見解を変えたのに国税様が加算税を賦課してもいい理由として、

1 平成17年の税務職員が執筆した公刊物等に共通対応という見解が書かれている
2 申告当時、裁決事例や下級審では共通対応と判断されていた

このような理由が述べられている。

1については、税務職員が書く文書には「個人的見解」と明記されている。このように明記する理由は、国税様に悪影響がないようにするためである。いうまでもなく、個人的見解を信用して不利益が発生すると困るのは納税者なので、こんな書籍を信用しろという方がおかしい。

2については、裁決事例など多くの国税職員は読んでもいないのに、納税者に読んで把握しておけ、というのは酷すぎるだろう。加えて、日本は判例法国家ではないため、判例や裁決例は厳密には法の根拠とは言えない。

こんな低レベルな判断が判例として最高裁からなされるとは恐ろしい時代。税務に詳しくないのか何なのか。裁判所など信用せず、税務調査で国税様に一切妥協せず、どこまでも闘うべき時代と言える。

税のしるべ 電子版:最高裁でADW事件、ムゲン事件ともに企業側が全面敗訴