【1/17】今日のニュース

01増える空き家、団塊世代の高齢化でさらに 国は税優遇見直し検討



全国で空き家が増えている。国の調査では、賃貸用などをのぞいて人が長い間住んでいない家は349万戸あり、人口減の時代を迎え、今後はさらに増えると見込まれる。売りたくても売れず、管理の費用や手間がかさむといった悩みも。相続放棄などで放置され続けると、周辺環境の悪化や倒壊などにつながることもあるため、国も対策に乗り出す。

5年ごとの総務省の住宅・土地統計調査(2018年)によると、空き家は全国に849万戸あり、住宅の総数に占める割合は13・6%。野村総合研究所の予測では、空き家の取り壊しが進まない場合、38年にはさらに31・5%に上昇する。特に、持ち家率が高い団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる25年以降、急増する恐れがある。

別荘や賃貸用の住宅などをのぞき、人が長い間住んでいない空き家は349万戸(5・6%)で、高知、鹿児島、和歌山、島根など6県で総数の10%を超えている。木造一戸建てが240万戸で、「腐朽や破損あり」も約101万戸ある。

国は管理状態が悪い空き家の修繕や建て替えを促すため、固定資産税の優遇措置を見直し、税負担を増やす検討を始めた。今月末の有識者会議で制度見直しを決め、早ければ来年度中に新たな課税を始めたい考えだ。

025年度税制改正大綱 マンション長寿命化促進税制を創設



近年、高経年のマンションが増加しているが、高齢化や工事費の急激な上昇により、長寿命化工事に必要な積立金が不足しているケースも多く、大規模修繕が適切に行われていないケースが問題になっている。長寿命化工事が適切に行われなければ、外壁剥落や廃墟化を招き、周囲への大きな悪影響や除却の行政代執行にともなう多額の行政負担が生じることとなる。

そこで、必要な積立金の確保や適切な長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を後押しすることを目的として、令和5年度税制改正大綱に「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」(マンション長寿命化促進税制)の創設が盛り込まれた。

改正の概要は、①管理計画の認定を受けたマンション等において、長寿命化工事が実施された場合に、その翌年度に課される建物部分の固定資産税額が減額される。②減額割合は、1/6~1/2の範囲内(参酌基準:1/3)で市町村の条例で定めることとなる。

対象となるマンションは、①築後20年以上が経過している10戸以上のマンションであること、②長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施していること、③長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保していること。

令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に完了した長寿命化工事が対象となる。

03マイナンバーで新たな給付柔軟に 手続き短縮へ法改正案



政府はマイナンバーを給付金支給などに迅速に活用できるよう手続きを簡素にする。新たな使途を追加する場合、個々に法改正が必要な現状を政省令で対処できるよう改める。23日に召集される通常国会に出す方針の改正案に盛り込み、マイナンバーの活用の幅を広げやすくする。

今回の法改正案で情報の利用者と事務の概要だけをあらかじめ定めておけば政省令の変更だけで新たな情報連携ができるように変える。給付金の新設に関する省庁や自治体の裁量を広げ、準備から給付までの期間を1年ほどに短縮することを見込む。

04インボイス登録、9月末まで受け付け可能に 半年延長



消費税の税率や税額を請求書に正確に記載・保存するために10月に導入するインボイス制度を巡り、政府は事業者登録の受け付けを事実上延長する方針を決めた。制度開始に間に合わせるには原則3月末までに申請する必要があったが、未登録の事業者が残っており、事情を問わず9月末まで受け付ける。制度の円滑な導入につなげる。

16日の関係省庁会議で明らかにした。4月以降の申請には「困難な事情」があることが要件だったが、理由の申告を不要にする。手続き柔軟化の方針は2022年12月に閣議決定した23年度税制改正大綱に盛り込んでいた。22年12月末時点の登録率は法人が75%、個人は34%にとどまっている。

インボイス制度では企業などが取引をするときに、原則として「適格請求書」と呼ばれる書類を使う。消費税が8%と10%の複数税率となったことで、納める消費税から自社で支払った分を差し引く際に必要になった。国税電子申告・納税システム「e-Tax」から手続きすると3週間ほどで通知書が届く。

仮に9月末に申請した場合、登録番号の取得は制度開始に間に合わない。さかのぼって取引先に番号を知らせるなどの対応をとってもらう。国税庁は「余裕を持って早めに対応してほしい」と呼びかける。

納税を免除されてきた売上高1000万円以下の事業者がインボイスを発行する課税事業者になる場合、納税額を売上時に受け取る消費税の2割に抑える特例を設けるといった負担軽減措置なども10月に導入する。

05海外スマホゲーム消費税、IT大手から徴収へ 税逃れ防ぐ



政府はスマートフォンアプリで利用する海外ゲームにかかる消費税の徴収を強化する検討に入った。米アップルやグーグルなど、取引の間に入るプラットフォーマーに税を納める義務を課す方向だ。海外のゲーム会社は中小企業も多く、日本のユーザーから預かる消費税が日本の税務当局に納付されないケースがある。国境を越えた徴税の適正化を進める。

政府はアプリストアを運営する巨大IT企業が日本の当局に消費税を納付する義務を負うよう制度を見直す方向だ。欧州では巨大IT企業が消費者にサービスを提供しているとみなし、納税義務を課す制度をすでに導入している。日本でも欧州を参考に制度設計を進めるとみられる。

22年12月に閣議決定した23年度税制改正大綱に、海外ゲームにかかる消費税の徴収強化の検討を盛り込んだ。財務省は巨大IT企業へのヒアリングや、実務者・関係省庁を交えた検討会で議論を進める。24年度以降の消費税法改正を視野に入れる。

06売掛金の回収保険、契約急増 ゼロゼロ融資後の倒産警戒



取引企業の倒産などで売掛金を回収できなくなった場合に損失を補償する取引信用保険の契約が伸びている。損害保険大手4社の契約件数は2022年度に前年度比で1割増える見通し。新型コロナウイルス対策の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格的に始まる。企業が倒産への警戒を強めていることが、取引信用保険の契約増加に表れている。

取引信用保険は取引先の倒産などにより売掛金・受取手形が回収不能になった場合に貸倒損失に対して保険金を支払う仕組み。欧州では100年以上の歴史がある保険制度で、日本ではバブル経済の崩壊後に相次いだ大手流通産業の倒産に伴って企業の加入が増えた。

今はコロナや物価上昇の悪影響を受けやすい建設業や運輸業、飲食店や宿泊施設を取引先に抱える企業から補償の見積もりが目立つ。売掛金を回収できずに連鎖倒産するリスクを抑える狙いがある。例えば1つの売掛先に対する補償限度額を3000万円として、売掛先を数十社持つ場合、年間保険料は500万円程度になる。

損保大手4社(東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険)の契約実績を集計した。契約件数は22年度に3237件と、前年度比で9%伸びる見通し。コロナ禍の3年間では3割契約が増える。保険料収入は178億円と前年度比で5%減るが、コロナ前(130億円強)を3割上回る。