【1/10】今日のニュース

01無店舗型のコンパニオン収入 資料情報から無申告者を把握

インターネットのプラットフォームを介して単発の仕事を引き受ける「ギガワーカー」。自分のペースで収入を得られるほか、自由度の高さから新しい働き方として注目を集めているが、その一方で、収入を得ているのに税務申告をしないケースも相次いでおり、国税当局が監視の目を光らせている。

調査対象者Aは、スマートフォンのマッチングアプリを介してコンパに参加し収入を得る、いわゆる「ギャラ飲み」を行っていた。当局が収集した資料情報などから、Aがギャラ飲みにより収入を得ている事実を把握したが、税務申告をしておらず、無予告により調査に着手した。

スマートフォン内の情報について確認調査を実施したところ、マッチングアプリ内に多額のポイント(運営企業から支払われる飲み会参加報酬や顧客からのプレゼント報酬)を得ている事実を把握。

Aに対してギャラ飲みの収入について追及したところ、3年ほど前からギャラ飲みによる収入を得ているが、過去に働いていたホステスと同様に税金が天引きされていると思っていたと供述。運営会社にAに対する報酬の支払い状況について反面調査を実施したところ、報酬から税金は差し引かれていないことが確認された。

運営企業からの回答結果などから所得を算出し、所得税(3年分)の申告漏れ所得金額が約4000万円となり、追徴税額(加算税込み)として約1100万円の課税を行った。

ギャラ飲みのような無店舗型のキャバクラのコンパニオン収入に関しても、国税当局では資料情報を積極的に収集して調査に活用している。

02企業倒産3年ぶり増加 22年、物価高・人手不足が打撃

2022年の日本国内の企業倒産件数が3年ぶりに前年を上回った。ウクライナ侵攻などで原燃料価格が高騰し、建設業や運輸業で資金繰りが行き詰まった。21年が実質無利子・無担保融資の「ゼロゼロ融資」の恩恵で57年ぶりの低水準だった反動もあり、年8000件台で推移していた19年以前に比べれば少ない。ただ物価高や人手不足は厳しさを増し、23年は中小を中心に倒産がさらに増える可能性がある。

東京商工リサーチ(TSR)によると、22年の倒産件数は11月まで8カ月連続で前年同月を上回り、11月までの累計で5822件と前年同期比5%増えた。通年では6400件程度となり21年通年(6030件)を超えたもようだ。

03東京都、スタートアップ支援拠点を整備へ 事業費25億円

東京都は2023年度、大規模なスタートアップ支援拠点を整備する。ベンチャーキャピタル(VC)やアクセラレーター(起業家育成組織)、大学、企業関係者が入る拠点を設け、スタートアップの育成支援につながる環境を整える。事業費は25億円を見込んでいる。24年度の本格開業を目指す。

8日に23年度予算案を査定した小池百合子知事が明らかにした。施設名称は「Tokyo Innovation Base」で、世界有数のスタートアップ支援拠点として知られるフランスの「ステーションF」を参考に整備する。

海外のランキング調査では、東京のスタートアップ育成環境は北京や上海、ソウルより順位が低い。米国に比べてスタートアップの起業数も乏しい。小池氏は査定後の記者会見で「スタートアップが生まれる東京をつくり上げる」と述べた。

23年度予算案には、大学発ベンチャー向けの100億円規模の官民連携のファンドの設立や、日本貿易振興機構(ジェトロ)と共同で海外のVCやアクセラレーターを誘致する事業も盛り込む。

04ゼロゼロ融資の借り換え保証、10日開始 支援を継続

中小企業庁は新型コロナウイルス対策として実施した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済負担を軽減するための借り換え保証制度を10日から始める。返済が本格化する企業が今後増えるため、資金繰り支援を継続する。

条件として売上高が前年比で5%以上減少していることや、経営の改善に向けた具体的な取り組みを示す計画書の作成などを条件とする。保証限度額は1億円で、期間は10年以内とする。元本の返済を猶予する期間は5年以内とした。新たな事業に取り組むといった事業再構築に向けた資金需要にも対応する。

ゼロゼロ融資はコロナ禍で売り上げが減少した中小企業を支援するため2020年3月に始まった。融資総額は22年9月末時点で計約43兆円にのぼり、23年に返済開始の山場を迎える。

05コロナ禍の特例貸付、3割が返済不能 2108億円免除決定

新型コロナウイルス禍で収入が減った世帯に特例で生活資金を貸し付ける国の制度を巡り、返済免除を求める申請が2022年10月末時点で貸付総数の3割超(約106万件)に上ることが日本経済新聞の調査で分かった。既に約63万件の申請が認められ、約2108億円分の免除が決まっていた。生活再建の支援を含め、制度全体の見通しの甘さが浮き彫りになった。

「生活福祉資金の特例貸付」はコロナ禍の困窮世帯支援策として20年3月に設けられた。貸付額は2人以上の世帯で最大200万円。申請受け付けは22年9月末で終了した。

日経は22年11月、貸し付けや回収業務を担う47都道府県の社会福祉協議会(社協)にアンケートを実施。全てから回答を得た。

返済免除の申請は同10月末時点で約106万件に上り、貸し付け全体の約32%を占めた。住民税非課税の低所得世帯など免除決定はこのうち約63万件(約2108億円)。調査では約5万件(約151億円)が債務整理手続きに入り、うち約1万4千件(約44億円)の自己破産が決まっていることも判明した。

背景にはスピードを優先し、審査や生活支援が十分にできなかったことがある。生活福祉資金は本来、社協職員が事前に使途や返済計画を聞き取るが、特例貸付は迅速に貸し付けるため申請書類の提出のみだった。東京都社協の担当者は「事務処理と電話対応に追われ、相談に応じる余裕がなかった」と振り返る。

日本福祉大の角崎洋平准教授(社会福祉学)は「初期対応としては適切だったが、コロナ禍の長期化で制度の延長が繰り返される中、国は社協側の態勢強化を十分図ってこなかった」と指摘。「収入見通しを踏まえた返済計画づくりが必要で、自治体やNPOとの連携も欠かせない」と話す。