今までの激変緩和措置は課税事業者に対するものでしたが、免税事業者がインボイス発行事業者になるケースへの措置も創設されます。
(3)の返還インボイス発行不要は、売掛金支払い時の勝手に振込手数料控除問題に対応するためのもののようです。
(4)③登録希望日を記載させ、登録日がその日より後になっても登録希望日に登録したとみなすとされ、いつからインボイス発行事業者としてインボイス発行できるかが事前にわかるようにされていますね。

1適格請求書等保存方式に係る見直し

(1)適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置
①令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合、売上税額の2割を納税額とすることができる。
この適用を受ける場合には
②申告書にその旨を付記する必要あり

(注1)令和5年10月1日前から課税事業者選択届出書の提出により課税事業者の場合は適用不可
(注2)令和5年10月1日の属する課税期間から課税事業者選択届出書を提出し課税事業者となったインボイス発行事業者が、当該課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出したときは、当該課税期間から免税事業者となる

③上記の適用を受けた翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出した場合、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度適用可能

(2)基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行う課税仕入れについて支払対価の額が1万円未満の場合、帳簿保存のみで仕入税額控除が可能

(3)売上に係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合、返還インボイスの交付義務免除

(4)適格請求書発行事業者登録制度について次の見直しを行う
①免税事業者がインボイス発行事業者の登録申請書を提出し、課税期間の初日から登録を受けようとする場合、当該課税期間の初日から起算して15日前の日(現行:当該課税期間の初日の前日から起算して1月前の日)までに登録申請書を提出しなければならない
②インボイス発行事業者が登録の取消しを求める届出書を提出し、その提出があった翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合には、当該翌課税期間の初日から起算して15日前の日(現行:その提出があった課税期間の末日から起算して30日前の日の前日)までに届出書を提出
③令和5年10月1日後にインボイス発行事業者の登録を受けようとする免税事業者は、その登録申請書に提出する日から15日を経過する日以後の日を登録希望日として記載するものとする。当該登録希望日後に登録がされたときは当該登録希望日に登録を受けたものとみなす(現行:登録を受けた日から課税事業者)

(注)令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする事業者が、その申請期限後(令和5年3月31日)に提出する登録申請書に記載する困難な事情については運用上、記載がなくとも改めて求めない

(令和5年度与党税制改正大綱より引用)