東京商工リサーチが発表した「飲食業の倒産動向調査」結果によると、2022年11月の飲食業倒産(負債1000万円以上)は49件(前年同月比25.6%増)で、2月以来、9ヵ月ぶりに前年同月を上回った。新型コロナ関連倒産は29件で、飲食業倒産の約6割(構成比59.1%)を占めた。コロナ関連支援で倒産抑制に効果をみせた「実質無利子・無担保融資」や休業・時短協力金などの助成金が、コロナ禍に直撃された飲食業の経営を下支えした。
だが、コロナ禍も2年半を経過し、支援策は縮小され支援効果は薄れつつある。さらに、円安や資源高などで材料費や光熱費が上昇し、人件費アップも追い打ちをかけている。2022年1~11月の累計は462件(前年同期比▲22.4%)で、2年連続で前年を下回る見込みだが、新型コロナ第8波のなか、今年も忘年会はコロナ前に戻ることは難しい。少人数の宴席が飲み会の主流となり、二次会も減るなかで飲食業は再び厳しい状況に追い込まれている。
業種別は、最多が「食堂、レストラン」(前年同月比27.2%増)と「酒場、ビヤホール(居酒屋)」(同100.0%増)が各14件。居酒屋は在宅勤務やテレワークの浸透で、コロナ前の来店客数に戻らず、大人数の飲み会も自粛が続き、倒産が大幅に増えた。東京商工リサーチが10月に実施した「忘年会・新年会」実施のアンケート調査では、忘年会を「開催しない」企業は6割超(構成比61.4%)あり、年末年始の書き入れ時も苦戦を強いられそうだ。
資本金別は、「1千万円未満」が42件(前年同月比23.5%増)で、飲食業倒産の8割超(構成比85.7%)を占めた。内訳は、「100万円以上500万円未満」が19件(前年同月比72.7%増)、「個人企業他」が11件(同▲21.4%)、「100万円未満」(同500.0%増)と「500万円以上1千万円未満」(同25.0%減)が各6件だった。飲食業は、創業支援などで小資本でも開業が可能で、小・零細規模の企業が多い。
支援効果が薄らぐなか、業績回復の遅れから資金繰りが逼迫し、事業継続を断念するケースが増えている。また、形態別にみると、「破産」が48件(前年同月比26.3%増、構成比97.9%)、「特別清算」が前年同月と同件数の1件で、消滅型の法的倒産が100.0%だった。飲食業は小・零細企業が多く、経営再建までの資金余力はなく、事業継続の断念を余儀なくされている。
同調査結果は↓
東京商工リサーチ:2022年11月「飲食業の倒産動向」調査
(タックスコム提供)