日本能率協会がトップマネジメント研修の受講者を対象に実施した「トップマネジメント意識調査」では、これからの経営者に求められる資質として28項目を提示し、特に重要であると思われるもの、自身の強みであると思われるものにつき、それぞれ3つを選択してもらった結果、特に重要であると思われる資質の1位は「本質を見抜く力」(41.4%)、2位は「変化への柔軟性」(37.4%)、3位は「イノベーションの気概」(24.8%)となった。

一方で、自身の強みであると思う項目についての回答結果と比較すると、「変化への柔軟性」は強みであるとの比率が34.5%と重要度と同水準であるのに対し、「本質を見抜く力」と「イノベーションの気概」はそれぞれ18.7%、9.4%と、重要度との乖離が大きいことが分かる。これからの経営者を育成していくにあたって、こうした資質をより一層強化していくことが必要であると捉えることができる。

経営者として必要と思われる知識やスキルに関して、もっと身につけておけば良かったものは、1位「会社法・税法などに関する法律知識」(71.6%)、2位「財務・会計に関する知識」(69.1%)となった。既に身につけているとの回答比率は、それぞれ 11.9%、19.8%となっており、乖離が大きいことが分かる。経営幹部候補を計画的に育成し、役員・経営幹部として必須の経営知識を習得する機会を用意することが重要となっている。

これまでに経営者となるためのトレーニングを「受けてきた」との回答が37.8%と4割を下回っているのに対し、「受けていない」が61.5%と6割を超えた。また、これまでに受けたことのあるトレーニング機会(複数回答)は、1位は「社外の経営幹部育成研修の受講」(52.3%)、2位は「戦略・ビジョン策定プロジェクトへの参加」(50.6%)、3位は「社内の経営幹部育成研修の受講」(49.4%)となった。

日本の産業界の今後の国際競争力・持続的成長や自社の今後の競争力・成長に対する評価について、日本の産業界の今後の国際競争力・持続的成長では、「不安」の合計(「やや」~「かなり」)が9割に達した。自社の今後の競争力・成長についても、「不安」の合計が5割を上回っている。経営課題が複雑・多様化する時代にあって、これからの役員・経営幹部には、自社の競争力向上、成長に向かって果敢に挑戦することが、一層期待されている。

同調査結果は↓
日本能率協会:『トップマネジメント意識調査2022』 <調査結果発表>

(タックスコム提供)