先日発表された東京税理士会の2020年度「税務調査アンケート」では、税務調査期間は3ヵ月以内で終了との回答割合が約69%だったことなどが明らかになったが、同調査では書面添付制度についてもアンケートを行っている。調査結果(有効回答数570会員)によると、「書面添付制度を利用している」は151件(26.5%)となり、「利用していない」が390件と約7割(68.4%)を占めたことが分かった。
書面添付件数2942件を税目別にみると、「法人税(消費税含む)」が1948件で66.7%を占め、「所得税(消費税含む)」が696件(構成比23.7%)、「相続税」254件(同8.6%)、「贈与税」44件(同0.1%)。書面添付件数2942件のうちが、「税務調査となった」ものが12件、「意見聴取があった」ものが28件あった。また、書面添付について「報酬の請求をした」のは662件で約23%だった。
書面を添付している理由(複数回答)は、「税務調査の省略化」が72.8%で最多、次いで「業務品質の向上」(42.4%)、「税理士の権利」(37.7%)、「顧問先に対するアピール」(37.1%)、「業務上の責任範囲を明確化」(30.5%)、「金融機関に対するアピール」(3.3%)などが挙げられた。その他の理由(13.9%)としては、「前任税理士が書面添付していたため」、「関与先からの要望」、「税務署への説明文書として」などがあった。
一方、書面を添付していない理由(複数回答)では、「時間や労力がかかり煩雑」が48.9%で最多、次いで「添付する効果が不明」(34.6%)、「報酬の請求が困難」(31.4%)、「科目内訳書及び概況書で充分」(24.4%)などが続いた。今後の利用意向(複数回答)は、「納税者から要望があれば利用したい」(37.9%)、「税目によって利用したい」(30.9%)、「普及率によって利用したい」(13.0%)が挙げられ、「利用したくない」は11.2%だった。
書面添付制度をより一層周知・普及させるため有用だと思われる施策(複数回答)は、「事例集の充実」が46.8%で最多、次いで「制度の周知徹底」(29.3%)、「納税者への周知案内を作成」(29.1%)、「研修会の充実」(28.1%)が続いた。東京会では、「書面添付制度を積極的に活用していくためには、制度の趣旨を税理士がよく理解することが肝要。引き続き、制度の研修等を充実させ、制度の普及・定着に努めていきたい」としている。
(タックスコム提供)