経営者の開業時の年齢は、「40歳代」が35.3%と最多、次いで「30歳代」が30.7%と、両年代が開業の担い手となっていることが、日本政策金融公庫が発表した「2022年度新規開業実態調査」結果(有効回答数1122社)で分かった。全体の平均は43.5歳で、2018年度以降43歳台が続いている。調査は、同公庫が2021年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業1年以内の企業を対象に実施したもの。

開業者に占める女性の割合は、前年から3.8ポイント増の24.5%となり、1991年度の調査開始以来最も高くなった。開業業種については、「サービス業」が29.4%で最も多く、次いで「医療、福祉」(16.4%)、「小売業」(13.8%)、「飲食店、宿泊業」(10.1%)などが続き、地域に根差して営業する業種が多い。開業時の平均従業者数は3.1人で減少傾向にある。調査時点(7月)の平均従業者数は4.1人と、開業時から1.0人増えた。

開業費用の分布をみると、「250万円未満」(21.7%)と「250万~500万円未満」(21.4%)で43.1%と4割以上を占め、次いで「500万~1000万円未満」が28.5%。「250万円未満」で開業する割合は増加傾向にあり、1000万円未満での開業が71.6%と約7割を占める。開業費用の平均値は1077万円、中央値は550万円だった。開業費用の平均値は、1991年度の調査開始以来最も少なかった昨年から136万円増加した。

開業時の資金調達額は平均で1274万円となり、調査開始以来最も少なかった2021年度より97万円増加した。資金の調達先に関しては、「金融機関等からの借入」が平均882万円(平均調達額に占める割合は69.2%)、「自己資金」が平均271万円(同21.3%)となっており、両者で全体の約9割を占めている。最近は「自己資金」の割合が減少傾向にあるが、今回は2年連続の増加だった前年度から3年ぶりに減少に転じた。

なお、新型コロナ感染症によるマイナスの影響を「受けた」との回答割合は75.7%と前年度に比べ1.2ポイント低下。業種別では、「飲食店・宿泊業」(96.4%)や「運輸業」(95.1%)で特に高く、「教育・学習支援業」(81.6%)や「卸売業」(80.6%)も8割を超える。影響の内容(複数回答)は、「国内の一般消費者の需要が減っている」が44.7%、「原材料・商品が手に入りにくくなっている(仕入価格の上昇を含む)」が39.5%となっている。

同調査結果の概要は↓
日本政策金融公庫:「2022年度新規開業実態調査」~アンケート結果の概要~

(タックスコム提供)