国税当局は、インターネット上のプラットフォームを介してシェアリングエコノミー(シェアエコ)等新分野の経済活動に係る取引や暗号資産(仮想通貨)等取引を行っている個人に対しては、有効な資料情報の収集・分析に努め、適正な課税に努めている。シェアエコ等新分野の経済活動とは、シェアリングビジネス・サービス、ネット広告、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークション等を総称した経済活動のことをいう。
国税庁によると、今年6月までの1年間(2021事務年度)において、シェアエコ等新分野の経済活動を行っている個人を対象に839件(前事務年度639件)を実地調査(特別・一般)した結果、1件当たり平均1382万円(同1478万円)の申告漏れ所得金額を把握。申告漏れ所得金額の総額は116億円(同94億円)にのぼる。1件当たりの追徴税額は266 万円(同300万円)。追徴税額の総額は22億円(同19億円)にのぼる。
調査件数839件を取引区分別にみると、民泊、カーシェアリング、クラウドソーシングなどの「シェアリングビジネス」が273件(32.5%)を占めて最も多く、次いで、「ネット通販・ネットオークション等」257件(30.6%)、アフィリエイトなどの「ネット広告」59件(7.0%)、アプリ作成・配信、有料メルマガなどの「デジタルコンテンツ」50件(6.0%)などとなっている。
また、今回の集計から暗号資産(仮想通貨)等取引は、シェアリングエコノミー等新分野と区別しており、2021事務年度においては、444件(前事務年度432件)実地調査(特別・一般)を実施。1件当たりの申告漏れ所得金額は、3659万円(同2456万円)。申告漏れ所得金額の総額は162億円(同106億円)。1件当たりの追徴税額は1194万円(同780万円)。追徴税額の総額は53億円(同34億円)にのぼる。
調査事例では、動画配信により得た収入を無申告で仮装・隠ぺい行為を否定したニュービジネス(デジタルコンテンツ)事案がある。動画配信を業とするAは、多額の利益を得ていたにもかかわらず、その収入を隠ぺいし所得税の申告をしなかったことから課税したもの。Aに対しては、所得税3年分の申告漏れ所得金額約3600万円について、加算税込み(重加算税あり)の税額約700万円を追徴している。
(タックスコム提供)