日経新聞:「人への投資」促進へ税優遇 博士活用やDX、高専支援も
政府・与党は「人への投資」を促す税優遇の骨格を固めた。博士号を取得した人材を研究開発に生かしたり、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進める人材を育成したりする企業の法人税負担を軽くする。大学や高等専門学校の新設に資金支援する企業も優遇する。高度人材を育てて生産性向上を目指す企業を税制面で後押しする。
博士人材の活用に向け、研究開発費の一部を本来支払う法人税額から差し引く研究開発税制を改める。通常の控除率は2~14%だが、企業が共同研究や委託研究で大学や研究開発型のスタートアップと組んだ場合はさらに20~30%控除できる。この「オープンイノベーション型」制度を、企業が博士号を取得した人を内部で活用した場合も使えるようにする。
高専などの新設を支援した企業の優遇制度の大枠も固まった。学校法人を新設する団体に寄付する場合、全額を税務上の損金(経費)として扱い税負担を減らせる仕組みを設ける。円滑に寄付できるように、申請などの手続きを不要とする考えだ。エンジニアや起業を目指す若年世代の能力を高める効果を期待する。
21年度に創設した「DX投資促進税制」は2年間の期限を延長し、要件を見直す。DXに向けた設備投資額の最大5%を法人税から差し引く仕組みで、計画を国が認定する。サイバーセキュリティーの確保やDXによる生産性向上の達成目標を示すことなどの要件に加え、人材の育成・確保に関する計画も求める。