TabisLand:教育・結婚・育児資金 一括贈与の非課税特例「廃止を」政府税調で意見一致
相続税・贈与税のあり方について議論を続けている政府税制調査会の専門家会議(座長・増井良啓東京大教授)は、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与への非課税措置について、廃止が適当とする意見を取りまとめた。11月8日に開かれた総会でも、廃止を求める方向で委員の意見が一致した。政府税調は委員の任期を半年延長する方針としており、中期答申の取りまとめに向けて議論を進める。
財務省によると、教育資金贈与の非課税措置の適用実態は、祖父母・曾祖父母から孫への贈与が98%を占める。業界団体のアンケートでは非課税措置を受けた贈与で「将来に備えた資産形成を行いたい」とする回答が半数近くという結果も出ており、事実上、親の資産形成に活用されているといった指摘もされている。
結婚・子育て資金への非課税措置は、結婚に要する費用は300万円、子育てに要する費用は1000万円までと枠が定められており、合計で1000万円までが非課税となる。一方、対象となる信託契約の受託状況をみると、資金300万円以下が7割を超えた。総会では委員から、「結婚資金のための利用が多いのでは」といった指摘が出た。
いずれも導入当時より利用件数が減少していることも、廃止を求める意見の背景にはある。多くの委員から、「格差の固定につながる」ことや、幼児教育・保育の無償化など、子育てに関する公的な支援が進んでいることから、廃止の検討を進めるべきとする意見が出た。
中里実会長は総会後の記者会見で「政治過程になるかもしれないが、導入された時の目的がどの程度実現されているか検証する中でどうするか決めていく」と述べた。