日経新聞:スタートアップへの再投資、非課税に 財務・経産省検討

11月後半から本格化する与党の税制調査会で詳細を詰め、12月にまとめる2023年度税制改正大綱に盛り込むことを目指す。個人投資家がスタートアップに出資した際に税優遇を受けられる「エンジェル税制」を見直す。岸田政権はスタートアップの育成を「新しい資本主義」の重点分野に掲げており、税制面で後押しする。

通常、株式の売却益には20%課税される。現行のエンジェル税制では、保有株の売却益をスタートアップ投資に回すと課税が繰り延べられ、スタートアップ株を手放す段階で課税される。

経産省がまとめた見直し案では、スタートアップ株を手放す段階でも投資額の分は課税の対象としない。例えば、個人投資家が株式売買で得た500万円をスタートアップ企業に再投資して3000万円の売却益を得た場合、500万円を引いた2500万円に課税する。

対象企業や金額の上限など制度の詳細は今後詰める。スタートアップ株の売却益をスタートアップ投資に回す場合に対象を絞る案もある。現行のエンジェル税制で想定していない創業者が大株主になるケースを優遇対象に含めることも検討する。

両省はエンジェル税制のほか、スタートアップの従業員や外部の高度人材に対するストックオプション(株式購入権)への税優遇の拡大も検討する。大企業との協力を促すオープンイノベーション促進税制の対象を広げることも視野に入れる。