会計検査院が7日に公表した2021年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは310件、約455億2351万円(297件分)だった。前年度に比べ、指摘件数は100件増加。前年度に引き続き、新型コロナ感染防止への対応として、検査官による実地検査が検査対象機関に配慮する中で、指摘件数は増加したが、指摘金額では前年度の約2108億円を大幅に下回った。

財務省に対しては、法令違反に当たる不当事項として、税金の徴収額の過不足1億6216万円(うち過大154万円)が指摘された。検査の結果、46税務署において、納税者69人から税金を徴収するに当たり、徴収不足が72事項、1億6062万円、徴収過大が2事項、154万円。前年度は、42署において徴収不足が52事項、1億5492万円だったので、徴収不足はほぼ横ばいだったことになる。昨年度、徴収過大はなかった。

徴収が過不足だった74事項を税目別にみると、「法人税」が28事項(うち過大1事項)で徴収不足が8129万円(同▲96万円)と最も多く、以下、「申告所得税」22事項、同4922万円、「消費税」13事項、同2240万円、「相続・贈与税」7事項(同1事項)、同459万円(同▲58万円)「源泉所得税」2事項、同171万円などだった。これらの徴収過不足額については、会計検査院の指摘後、全て徴収決定・支払決定の処置がとられている。

法人税では、徴収過不足28事項のうち、「法人税額の特別控除」及び「交際費等の損金不算入」に関するものが各11件を占めた。例えば、A社は、2019年8月から20年7月までの事業年度分の申告で、当該事業年度の雇用者給与等支給額15億8352万円が、前事業年度の比較雇用者給与等支給額14億7236万円を上回るなどとして、雇用者給与等支給増加額1億1115万円の15%相当額1667万円を法人税額から控除していた。

しかし、A社の前事業年度分の申告書に添付された明細書等によれば、雇用者給与等支給額から控除すべき適正な比較雇用者給与等支給額は14億8745万円だった。そのため、適正な雇用者給与等支給増加額は9606万円と算出され、法人税額の特別控除額はその15%相当額の1440万円となり、226万円過大となっているのに、税務署はこれを見過ごしたため、法人税額が徴収不足になっていた。

財務省に対する不当事項(租税の徴収額に不足)は↓
財務省:租税の徴収額に過不足

(タックスコム提供)