日経新聞:炭素税導入先送り、23年度税制改正 エネ高騰で

政府・与党は2023年度の税制改正で、二酸化炭素(CO2)の排出量に応じ企業などに負担を求める炭素税の導入を先送りする。エネルギー価格が高騰する状況で国民の負担が増える新税の創設は難しいと判断した。脱炭素の当面の財源は賦課金などで検討する。

税制改正は与党の合意を得なければならない。自民、公明両党の税制調査会の幹部は23年度改正での導入に慎重な考えを示す。

ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響でエネルギー価格が高止まりする。与党からは「すぐに負担増につながる増税は選択肢にならない」との声があがる。

政府は賦課金を償還の財源にすることを検討する。現在は再生可能エネルギーの普及のため電気料金に上乗せして徴収する。

与党の税調は直接、関連法の改正など賦課金の政策形成に関わらない。賦課金は税に比べ柔軟に対応しやすい半面、炭素の価格が上下する展開が予想される。排出量取引はまだ実証段階にとどまる。

炭素税の先送りで、企業が化石燃料の使用を抑制する動機づけが弱くなる可能性がある。炭素税が普及する欧州などから日本の取り組みのおくれを指摘される懸念も消えない。

政府は炭素税以外で脱炭素に向けた実効性や安定財源を確保できるとの対外的な説明を急ぐ。