週刊東洋経済より 高揚するコンサルしたたかな弁護士 黄昏の税理士より
6項が適用される「やりすぎ」ケースを上げています。
① 不動産評価額の4倍以上の価格で不動産購入
② 不動産購入から3年以内に相続発生
③ 相続発生から1年以内に不動産売却
しかしながら、「やりすぎ」というだけで評価方法を変えるわけにはいきません。最高裁は、評価額が乖離していることのみでは、評価通達から離れて鑑定評価額による更正決定処分をする「合理的な理由」があるとは言えない、としています。
さらに、評価通達は課税庁がこれに従って画一的に評価をしていることは公知の事実であるとし、課税庁が、特定の者の相続財産の価額についてのみ評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額(鑑定評価額)によるものとすることは、合理的な理由がない限り、租税法上の一般原則としての平等原則に違反するものとして違法というべきであると述べてさえいます。
続けて、最高裁は、評価通達により評価すると本件購入のための借入も手伝い(図1参照)相続税の総額が0円になり、租税負担の軽減をも意図してこれを行ったものといえ、本件各不動産の価額について評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことは、本件購入・借入れのような行為をせず、又はすることのできない他の納税者と上告人らとの間に看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反するというべきであるから、今回のケースには合理的な理由があるとしています。
つまり最高裁としては、相続人に租税回避の意図があった場合の「総則6項」の適用は適法と判断したのです。短期的に相続税負担の軽減のみを狙うのではなく、長期的に不動産オーナー一家経営の一環としての意味合いも持つ不動産投資であれば総則6項は恐れることはないのではないでしょうか。