政府税制調査会(中里実会長)で、多様な働き方を促進するための手立てとして、退職金への増税が検討されている。近年、高所得者の退職金に対する課税強化が続いており、再び“経営者いじめ”が始まったものといえそうだ。
10月に開かれた政府税調の会合では、「多様な働き方を選びやすくする」との狙いのもと、所得税のあり方を議論した。現在の退職金に関する税制は終身雇用制度が前提となっており、勤続20年を超えると1年あたりの控除額が増える仕組みとなっている。会合ではこの仕組みが転職をためらう要因になっているとして、委員からは「控除は勤続年数で差を設けず一律にすべきだ」といった意見が出た。
中里会長は総会後の会見で「長期的な人生設計の前提となる制度の安定性というのは一定程度重要だ」と述べ、既存の制度を前提に暮らしてきた層に配慮が必要との認識を示したものの、今後も「働き方の多様化」のスローガンのもと、増税方向に話が進んでいく可能性は決して低くない。
退職金への増税を検討
2022/11/04