東京商工リサーチが発表した「2021年度決算の主要居酒屋業績動向調査」結果によると、2021年度の「酒場,ビヤホール(居酒屋)」を運営する主要337社の売上高合計は3454億2900万円(前期比▲19.5%)で、コロナ前の2019年度と比べると43.1%に縮小した。2021年度は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令で、居酒屋の多くは休業や時短営業を余儀なくされ、2期連続の大幅な減収となった。

居酒屋の売上はコロナ前から4556億8600万円が蒸発した。一方、最終利益は101億6300万円の赤字(前期は1334億2500万円の赤字)だったが、利益合計は2期ぶりに改善した。2020年度はコロナ禍での急激な売上減少に経費の削減が間に合わず、大幅な赤字を計上する居酒屋が多かった。しかし、2021年度は給付金や協力金の入金が進んだことなどで、コロナ前の2019年度(163億9200万円の赤字)よりも赤字幅が縮小した。

最新期の減収は241社(前期305社)で、減収企業率は71.5%。前期の減収企業率90.5%から19.0ポイント改善したが、それでも7割の居酒屋が2020年度より減収となった。また、最新期で最終利益が赤字の居酒屋は43.6%を占め、前期の70.3%(237社)から、26.7ポイント改善した。売上高の伸長率は、最多レンジが「減収率10%以上」の208社で、全体の61.7%を占めた。

以下、「増収率0~5%未満」が52社(構成比15.4%)、「同10%以上~100%未満」が35社(同10.3%)の順。売上が前期比50%以下は41社(同12.1%)で、減収幅の最大は82.5%減だった。前期から10%以上の増収だった企業の割合は11.5%(前期1.7%)まで上昇した。一方、依然として前期比10%以上の大幅減収が全体の6割を占め、居酒屋業界の業績回復への道のりは険しい。

最新期では、「減収増益」が最多の154社で構成比は45.6%と半数近くを占めた。前期に最多の275社(構成比81.6%)だった「減収減益」は、75社まで減少。利益は101億6300万円の赤字だったが、前年度から赤字幅は1200億円以上縮小した。ただ、本業で稼いだ利益でなく、持続化給付金や休業協力金などのコロナ関連支援の寄与が大きかった。支援が一巡した現在、売上回復で採算を維持できるかが問われている。

同調査結果は↓
東京商工リサーチ:“居酒屋“が大苦戦、市場規模はコロナ前の4割に 売上が2年連続で大幅減少、43.6%が赤字経営 ~ 2021年度決算 主要「居酒屋業績動向」調査 ~

(タックスコム提供)