確定給付企業年金とは、確定給付企業年金法に基づいて実施される企業年金制度であり、規約型と基金型に分かれる。規約型は、事業主が従業員の同意を得て、制度内容を定めた年金規約に基づき、掛金を外部に拠出することで、その年金資産を管理・運用し、年金給付を行うもの。また、基金型は、事業主が従業員の同意を得て、別法人として設立された企業年金基金が、制度内容を定めた年金規約に基づき、年金資産を管理運用するものをいう。

そこで、退職した使用人を受給者として年金給付を行うため、事業主が支出した下記の(1)~(3)に掲げる掛金の額は、事業主の法人税や所得税の課税所得の計算上、損金の額や必要経費に算入される。使用人については、事業主が掛金を支出した時点では給与として課税されない。なお、掛金の一部を使用人が負担した場合には、使用人において、下記(2)の掛金は生命保険料控除の対象、(3)の加入者掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となる。

事業主が支出した掛金の額で、損金の額又は必要経費に算入されるものは、(1)勤労者退職金共済機構又は所得税法施行令に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済制度に係る掛金、(2)確定給付企業年金法に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支出した掛金、(3)確定拠出年金法に規定する企業型年金規約に基づいて企業型年金加入者のために支出した事業主掛金、である。

一方、使用人が退職に伴って受け取る退職年金等の課税関係については、退職年金として給付されたものは公的年金等に該当し、雑所得として、また、退職一時金として給付されたものはみなし退職手当等に該当し、退職所得として課税される。また、信託銀行等に積み立てられている退職年金等積立金に対しては、原則として、毎年1パーセントの税率で法人税が課税される。

ただし、1999年4月1日から2023年3月31日までの間に開始する事業年度の退職年金等積立金に対しては、法人税を課さないこととされている。なお、年金規約で遺族給付金を支給することが定められている場合、加入者や確定給付企業年金の老齢給付金を受給中である人等が死亡したときに、その遺族に遺族給付金が支給される。遺族給付金は、所得税は非課税となるが、相続税の課税対象となる。

(タックスコム提供)