日経新聞:若年層に資産移転促進、政府税調 相続税見直しへ議論
政府の税制調査会(首相の諮問機関)は5日、相続税と贈与税の見直しを議論する専門家会合を開いた。現行では、贈与税の方が高い税率がかかりやすく、まとまった資産を若年層に生前贈与すると負担が重くなりやすい。資産を移転する時期で税負担に差がつきにくくする中期的な制度のあり方を検討する。
相続税と贈与税は別体系で累進課税される。財務省が示したデータによると、遺産総額が3億円以下の場合は相続税より贈与税の負担率が高いが、遺産総額が3億円を超えると相続税の方が負担が重くなる。
このため富裕層は資産を分割して生前贈与することで税負担を抑えながら多額の資産を移転できる。米欧では移転の時期で税負担に差が出にくい制度になっている。
5日の会合では委員から「移転する時期に中立的な税制がのぞましい」との意見が出た。「資産格差を防止する税制の検討を深めるべきだ」との指摘もあった。
次回の会合では、相続前3年間の贈与を相続財産に加算して相続税を課す暦年課税の期間の見直しなどを議論する。年内にも政府税調の総会に報告する見通しだ。