goo ニュース:高額所得者の税優遇にメス入るか 「1億円の壁」が課題に 政府税制調査会(産経新聞)
政府税制調査会(首相の諮問機関)は4日、個人所得課税のあり方を議論する専門家会合を開いた。年間所得1億円を境に富裕層ほど税率が低くなる「1億円の壁」が課題となり、全国で41人いる50億円?100億円の高額所得者は、所得税と社会保険料の負担率が中低所得者より低いことが示された。所得再分配を掲げる岸田文雄政権のもと、こうした税制の見直しが議論されるかが焦点となる。
財務省が示した所得層別の資料では、所得税と社会保険料の負担率が年間所得300万円?400万円では約18%なのに比べ、全国で41人いる50億円?100億円の高額所得者は17・2%にとどまり、富裕層が税制優遇されている現状が改めて浮き彫りになった。
給与などに課せられる所得税は収入が多いほど税率が高くなる累進課税で、自治体に納める個人住民税を含む最高税率は55%(課税所得4千万円超)。ただ、株式譲渡益など金融所得への課税は所得税と住民税を合わせて一律20%に制限され、所得に占める金融所得の割合が高い富裕層ほど税率が低くなる傾向がある。
負担が減少に転じる境界が年間所得1億円になるため「1億円の壁」と呼ばれる。対象者1万9千人の所得金額(約5兆6千億円、令和2年)のうち最も多いのが約3割を占める非上場株式の譲渡益などで、財務省関係者によると同族企業の経営者や関係者が多い。