厚生労働省が公表した2021年度の医療費の動向によると、同年度の概算医療費は44.2兆円で過去最高となった。対前年比で4.6%の増加と2年ぶりに増加した。概算医療費とは、医療費の動向を迅速に把握するために、医療機関からの診療報酬の請求(レセプト)に基づいて、療保険・公費負担医療分の医療費を集計したもので、労災保険や全額自己負担等の費用を含まず、国民医療費の約98%に相当する。
2021年度の概算医療費は44.2兆円で、前年度と比べると、前年度の新型コロナウイルス感染症の影響等による減少の反動もあり、金額で2.0兆円、伸び率で4.6%の増加となった。一方、新型コロナウイルス感染症の影響の少ない前々年度と比べると、1.4%の増加となっており、その内訳をみると、受診延日数は▲5.5%と減少し、1日当たり医療費は7.3%増加している。
2021年度の医療費の伸びを診療種類別にみると、対前年では全ての診療種類別で増加となる一方、対前々年では「入院」が▲0.3%の減少となっている。受診延日数について、対前々年でみると、いずれの診療種類別も▲4~7%程度の減少となっている。1日当たり医療費について、対前々年伸び率をみると、「入院」が6.7%、「調剤」が5.2%と、「入院外」(9.6%)、「歯科」(9.0%)に比べて小さくなっている。
年齢階層別に1人当たり医療費の状況をみると、対前年では、「未就学者」(22.3%)が20%を超える増加を示しており、対前々年では、「75歳以上」が、1日当たり医療費の増加(5.8%)を1人当たり受診延日数の減少(▲6.8%)が上回り、減少となっている。また、入院外医療費について、医科診療所の主たる診療科別の伸び率をみると、対前年、対前々年ともに、「小児科」の増加が大きい。
都道府県別に伸び率をみると、対前年、対前々年ともに、「埼玉県」(各6.3%、3.6%)、「千葉県」(同6.2%、4.0%)、「東京都」(同7.4%、2.5%)、「神奈川県」(同7.0%、4.0%)、「愛知県」(同6.0%、3.3%)が比較的増加幅が大きくなっている。対して、「青森県」(同1.2%、▲1.9%)、「秋田県」(1.5%、▲1.2%)、「高知県」(1.6%、▲0.7%)、「長崎県」(同1.9%、▲1.1%)は比較的増加幅が小さくなっている。
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厚労省:令和3年度医療費の動向~概算医療費の集計結果~
(タックスコム提供)