企業を取り巻く経営環境は厳しさが増している。帝国データバンクが発表した「企業の価格転嫁の動向アンケート調査」結果(有効回答数1649社)によると、自社の主な商品・サービスにおけるコストの上昇分の販売価格やサービス料金への転嫁状況は、「多少なりとも価格転嫁できている」企業は70.6%となった。内訳をみると、コストの上昇分に対し、「すべて価格転嫁できている」企業は 2.3%にとどまった。

「8割以上できている」企業は11.7%、「5割以上8割未満できている」は16.7%となった。一方で、「全く価格転嫁できていない」企業は18.1%だった。総じてみると、価格転嫁をしたいと考えている企業で、コストの上昇分に対する販売価格への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は36.6%と4割未満にとどまった。これはコストが100円上昇した場合に36.6円しか販売価格に反映できていないことを示している。

業種別の価格転嫁率をみると、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」(53.1%)は全体(36.6%)を16.5 ポイント上回っており、「機械・器具卸売」(50.9%)とともにコストの上昇分に対して半分以上販売価格に反映できている。また、「飲食料品卸売」(48.3%)では価格転嫁率が5割近くとなった。一方で、「ソフト受託開発」などを含む「情報サービス」の価格転嫁率は14.4%と全体を22.2ポイント下回った。

また、原油価格の高騰の影響を受けているトラック運送などを含む「運輸・倉庫」(17.7%)も価格転嫁が進んでいない。なお、これまでの政府の物価高騰対策の効果については、「大いに効果を実感している」が0.7%、「ある程度効果を実感している」が11.1%。一方で、「あまり効果を実感していない」は38.9%、「ほとんど効果を実感していない」は34.3%となり、合計すると企業の 73.2%で効果を実感していないことが分かった。

同調査結果は↓
帝国データバンク:企業の価格転嫁の動向アンケート(2022年9月)

(タックスコム提供)