日経新聞:仮想通貨の取引情報、各国で共有 税逃れ防止へ新枠組み

暗号資産(仮想通貨)の取引に伴う課税逃れを防ぐため、日本や米国、欧州などの主要国を中心に各国が取引情報を交換する枠組みをつくる。ドルや円などの通貨は各国が税務調査の必要に応じて、口座残高といった情報をやりとりしている。仮想通貨でも各国が情報を共有し、適正な課税に向けた環境整備を進める。

仮想通貨の売却などで得た利益は、日本では原則として所得税の確定申告が必要だ。ただ現在は、日本に住む人が外国の交換業者を使う取引を日本の税務当局が把握する仕組みはない。

新たな枠組みでは交換業者に世界共通の報告義務を課し、各国の当局間で情報を共有する。例えば米国の交換業者が日本に住む個人の取引を扱った場合、米税務当局に報告する。この情報が日本の税務当局に伝わり、申告していない利益が見つかれば課税する。ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨ごとに年間取引額を把握する。

経済協力開発機構(OECD)租税委員会の作業部会が非加盟の新興国や途上国を巻き込み、110カ国ほどで議論している。近く合意すれば、10月に米ワシントンで開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に報告する見通しだ。

各国の法整備を経て2025年ごろに情報交換が始まる可能性がある。日本は租税条約実施特例法の改正が必要になる。