パーソル総合研究所が発表した「賃金に関する調査」結果(有効回答数1万3745人)によると、勤務先と雇用形態が変わらなかった人の前年(2021年)に比べた賃金の変化は、「増加」との回答が最も多いのは「正規の社員・職員」(44.6%)だった。また、「パート・アルバイト」(33.5%)、「派遣社員」(27.8%)、「契約・嘱託社員」(30.3%)の非正規雇用者に比べて、正規雇用者のほうが、賃金が増加した人の割合が多かった。

業種別に、「平均年収」と「前年からの賃金増加者(賃金が増加した人)の比率」の分布をみると、「情報通信業」は平均年収が高く、賃金が増加した人の割合も多い。一方、「宿泊業、飲食サービス業」と「生活関連サービス業、娯楽業」は平均年収が低く、賃金が増加した人の割合も少ない傾向にある。職種別では、「経営企画」「商品企画・マーケティング」など企画系職種で平均年収が高く、賃金が増加した人の割合が多い傾向にある。

年収階層別に前年からの賃金の増減をみると、「100~200万円未満」から「500~700万円未満」の年収階層において、正規雇用者では年収が高い層ほど賃金が増加した人の割合が多いのに対し、非正規雇用者では年収が低い層ほど賃金が増加した人の割合が多かった。正規雇用の高年収層は収入が伸びていく一方で、非正規雇用者や正規雇用の低収入層は収入が伸び悩む傾向を示している。

また、企業の経営層530人に聞いた賃上げに対する考え方は、企業の経営層の63.0%が「会社の成長なくして賃上げは難しい」と回答し、「賃上げなくして会社の成長は難しい」の6.4%を大きく上回った。一方で、「賃金アップは投資だ」(38.1%)は「賃金アップはコスト増だ」(18.5%)を20ポイントほど上回った。『賃上げには会社の成長が前提だが、成長への投資として賃上げも必要』と考える経営層の認識が読み取れる。

この数年の雇用実態と今後の雇用意向、賃上げへの姿勢については、これまで正規社員を増やしてきた企業は、今後も正規社員を増やす意向が強く(75.4%)、賃上げにも積極的(55.4%)。一方、非正規社員を増やしてきた企業は、今後も非正規社員を増やす意向が強く(53.3%)、賃上げにも慎重(41.1%)だった。正規社員の雇用や賃上げを進める企業と、非正規社員の雇用や賃金抑制を進める企業とで、今後二極化していくことが示唆される。

同調査結果は↓
パーソル総合研究所:「会社の成長なくして賃上げは難しい」とする企業経営層が 63.0%

(タックスコム提供)