日本生産性本部が、従業員規模300人以上の組織で働くビジネスパーソン2746名(会長・社長・取締役・執行役員などの「経営層」546名、部長・課長などの「管理職層」1100名、係長・主任などの「非管理職層」1100名)を対象に実施した「生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」結果によると、日本の労働生産性に対する危機感は、経営層で「かなり危機感がある」が41%と最多となった。

一方、管理職・非管理職では「やや危機感がある」が最多だが「わからない」も目立ち、役職によって温度差がある。産業別では、サービス産業に比べ製造業で危機感がやや強い。働き方と業務プロセスにおける阻害要因は、「無駄な業務が多い」が全役職・産業共通で4割台と最多。「価値観や仕事のやり方が以前と変わっていない」も役職・産業を問わず3割程度の回答があり、役職による傾向の違いも大きくなく、共通の課題認識になっている。

付加価値向上のために重視すべき取組みは、「新しいビジネスモデル創造」が経営層・管理職は4割超で最多、非管理職も3割超。「イノベーションを起こす」は経営層・管理職は3割を超えている。「現状の業務改善を進める」は全役職で約25~30%を占めたが、非管理職がやや多い。「新しいビジネスモデル創造」と「現状の業務改善」の差は経営層・管理職で16%ポイント以上、非管理職では4%ポイント弱と、役職間で認識に差がみられる。

商品・サービス価格は労働生産性を左右する要因の一つだが、「原価が上がっても価格転嫁できず、利幅が圧縮されている」との回答が全役職で3割以上を占め最多。対応方針については、回答が分散しているものの、「需給に合わせた価格設定(ダイナミックプライシング等)」や「商品・サービスの改善に応じた価格改定」、「(原価低減などで利幅を維持・拡大など)安易な値下げ競争を避ける」が目立った。

コロナ禍収束を見据えた生産性の高い組織のあり方として、「働く場所に制約がない働き方」、「出社とテレワークを柔軟に組み合わせる」とする回答が全役職で約3割程度を占めた。「コロナ前の組織体制に戻す」との回答は全役職で5%前後にとどまった。SDGsやESG投資など多様なステークホルダーに配慮した社会的役割を重視する経営については、「賛成できる」が経営層・管理職で約6割を占めている。

同調査結果は↓
日本生産性本部:生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査

(タックスコム提供)