2022年上半期(1~6月)の負債1000万円未満の企業倒産は220件(前年同期比▲6.7%)で、年上半期では2年連続で前年同期を下回ったことが、東京商工リサーチが発表した「負債1千万円未満の倒産調査」結果で分かった。2008年以降の15年間では、2016年同期(219件)に次ぐ低い水準だった。一方、「新型コロナ」関連倒産は57件(前年同期46件)で、負債1000万円未満の倒産に占める割合25.9%(同19.4%)に上昇した。

同調査は、2022年上半期に全国で発生した企業倒産のうち、通常の企業倒産集計(負債1000万円以上)に含まれない、負債1000万円未満の倒産を調査したもの。負債1000万円未満の倒産のほとんどは小・零細企業で、経営体力が乏しく資産背景もぜい弱な企業が多い。長引くコロナ禍での業績回復の遅れに加え、円安など懸念材料が山積するなか、新たな資金調達も難しくなっており、今後は息切れ倒産が増える可能性が高まっている。

産業別にみると、最多は、「サービス業他」の94件(前年同期比▲13.7%)で、上半期としては2年連続で前年同期を下回った。構成比は42.7%で、前年同期の46.1%から3.4ポイント低下。このほか、「卸売業」12件(同▲42.8%)、「運輸業」4件(同▲55.5%)、「情報通信業」11件(同▲8.3%)は2年連続、「小売業」27件(同▲20.5%)は2年ぶりに、それぞれ前年同期を下回った。

一方、「建設業」49件(前年同期比63.3%増)、「製造業」13件(同62.5%増)は、それぞれ3年ぶりに前年同期比増加。この2産業の件数は前年同期の1.6倍増と、他の産業に比べ増加率も際立った。このほか、「不動産業」7件(同16.6%増)は、2年連続で前年同期比増加。業種別では、建築工事業(1→11件)、塗装工事業(3→8件)、受託開発ソフトウェア業(6→7件)、バー,キャバレー,ナイトクラブ(3→5件)などが増加した。

原因別は、最多が「販売不振」の154件(前年同期比▲12.5%)で、上半期としては2年連続で前年同期を下回った。負債1000万円未満の倒産の70.0%を占めるが、前年同期の74.5%より4.5ポイント低下。「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が12件(同▲14.2%)で、3年ぶりに減少。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)が166件(同▲12.6%)で、2年連続で前年同期を下回った。

同調査結果は↓
東京商工リサーチ:負債1千万円未満の倒産、年上半期は2年連続で減少 建設業、製造業など、資源高・資材コスト上昇の影響も

(タックスコム提供)