東京商工リサーチがこのほど発表した「2022年上半期の飲食業調査」結果によると、2022年上半期(1~6月)の「飲食業」倒産は237件(前年同期比▲28.1%)で、2年連続で前年同期を下回り、上半期では過去20年間で最少を記録した。コロナ禍での各種資金繰り支援の効果に加え、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除で通常営業が広がり、飲食業倒産は低水準で推移した。

ただし、飲食業倒産に占める新型コロナ関連倒産は約6割(59.4%)を占め、前年同期(44.2%)から15.2ポイント上昇。飲食店倒産が減少するなか、コロナ禍の深刻な影響が次第に顕在化しており、業況が厳しい企業との二極化が拡大してきた。新型コロナの新規感染者数は、6月後半から再拡大の傾向を見せ始めており、飲食業界が落ち着いて次の展開に歩み出すにはまだ時間を要しそうだ。

業種別の最多は「酒場,ビヤホール(居酒屋)」の61件(前年同期比▲22.7%)。次いで、「食堂,レストラン」51件(同▲1.9%)、「専門料理店」47件(同▲48.3%)。業種別の件数で、居酒屋がトップになるのは過去20年間で初めて。コロナ関連倒産の構成比では、食べ歩きや行楽需要の減少などが影響した「持ち帰り飲食サービス業」が75.0%で最多、以下、「専門料理店」72.3%、「バー,キャバレー,ナイトクラブ」64.2%の順だった。

資本金別では、個人企業を含む「1千万円未満」が191件(前年同期比▲33.6%)で、飲食業倒産の80.5%を占めた。一方、「1億円以上」は2019年同期以来、3年ぶりに発生した。負債額別は、「1億円未満」が199件(構成比83.9%)で、前年同期から▲30.9%と大幅に減少。また、「50億円以上」が2件(前年同期ゼロ)発生した。資本金・負債ともに小・零細規模の事業者が主体だが、中堅規模での増加の兆しも出始めた。

都道府県別では、増加が10府県、減少が29都道府県、同数が8県。増加は「宮城」(1→5件)、「山形」(1→3件)、「新潟」(4→6件)、「長野」(4→5件)、「三重」(0→5件)、「京都」。一方、「東京」(47→46件)、「愛知」(19→10件)、「大阪」(57→29件)、「広島」(8→4件)、「福岡」(19→11件)など都市部では減少が目立った。地区別では、唯一、東北10件(前年同期比42.8%増)が増加した。

同調査結果は↓
東京商工リサーチ:2022年上半期飲食業倒産、過去20年間で最少 コロナ関連は全体の約6割に上昇

(タックスコム提供)