リクルートワークス研究所が発表した「中途採用実態調査」結果(有効回答数4154社)によると、2021年度の中途採用実績は、1社あたり採用人数が1.31人と2020年度の1.23人から前年度比+5.8%と増加している。コロナ禍の影響も常態化し、企業サイドからみた中途採用市場は回復した。従業員規模別でみると、全ての従業員規模について、企業の中途採用実績は増加。中でも5000人以上の企業で+21.7%と最も増加した。

業種別では傾向が分かれ、採用実績が減少した業種は「建設業」(▲11.6%)、「情報通信業」(▲4.0%)、「運輸業」(▲12.4%)、「金融・保険業」(▲2.1%)。建設業と運輸業は、全体で採用意欲が回復する中で、人員を確保できなかった可能性がある。一方で、「小売業」(+18.6%)や「飲食店・宿泊業」(+10.2%)など、コロナ禍で前年度の採用実績が落ち込んだ業種でも2021年度は回復した。

中途採用について、経験者と未経験者の採用実績人数の過去7年間の推移をみると、2021年度は、経験者の採用人数が1社あたり0.80人と前年度より0.09人増加(+12.7%)し、未経験者については0.54人と前年度より0.02人増加(+3.8%)。中途採用全体では1社あたり1.23人から1.34人へと0.11人の増加。未経験者の割合は1.8%ポイント減少(42.1%→40.3%)。企業業績の回復などが相俟って、経験者の中途採用がより増加した。

従業員規模別にみると、従業員規模「5~299人」の企業で未経験者比率が43.3%と最も高い。採用力が従業員規模の大きい企業と比較して低く、未経験者で人材を補う様子がうかがえる。業種別にみると、人手不足の可能性が高い「建設業」(53.0%)、「小売業」(45.3%)などで未経験者比率が高い。一方で、専門性の高い、「機械器具製造業」(27.2%)、「医療・福祉」(23.8%)などは未経験者比率が低い。

2021年度下半期の中途採用において、必要な人数を「確保できなかった」と回答した企業は45.4%、前年度から+9.1%ポイントと増加。「確保できた」企業の割合(52.8%)と「確保できなかった」企業の割合の差は、全体で+7.4%ポイントとなり、前年度(+26.2%ポイント)から▲18.8%ポイントと低下した。これは調査が比較可能な2013年以来、最も大きな低下幅。コロナ禍が底を脱し、再び人材難の状況となりつつある。

同調査結果は↓
リクルートワークス研究所:中途採用実態調査(2021年度実績、正規社員)

(タックスコム提供)