幻冬舎GOLDONLINE:アメリカ不動産「個人から法人への名義変更」節税効果と注意点

この税制改正の内容は「海外不動産に限り損益通算を不可とする」というものです。アメリカ不動産を活用した節税対策は、“減価償却により大きな損失が生まれる不動産”と“給与や報酬などの所得”を相殺することで節税ができるというスキームでしたが、それができなくなってしまったのです。

とは言え、これはあくまで個人に対しての改正であり、法人での海外不動産の取り扱いについては言及されていません。つまり法人でアメリカ不動産を持てば、いまでも節税効果を生むことが可能なのです。

法人でアメリカ不動産を持つリスクを許容できたとして、いざ名義変更するにも注意が必要です。個人から法人へ名義変更すると、人格が変わるため様々な不都合が起こりやすくなります。

1.名義変更に掛かる手数料

アメリカ不動産を個人から法人へ名義変更する方法は様々ですが、名義変更の方法により手数料が大幅に変わります。アメリカ不動産会社によっては法外な手数料を請求する会社もあります。事前にどのような方法で名義変更をして、どのくらいの手数料が掛かるかを確認することをオススメします。

2.個人から法人への移転価格

アメリカ不動産の個人から法人への名義変更は人格が変わるとはいえ、関係者間の不動産取引となります。あくまで客観的な時価で不動産取引をしなければなりません。個人の簿価で法人へ名義変更することはもってのほかで、税務当局が飛んできて否認されてしまいます。まずは税理士と移転価格を相談することをオススメしますが、不動産鑑定などを活用して客観的な信憑を用意するようにしましょう。

3.建物比率の変化

日本の税法では不動産の建物部分を減価償却することになります。法人でもあらためて建物比率を算出する必要がありますが、個人でアメリカ不動産を購入したときと不動産の価値が変化するため、建物比率が変わることを覚えておきましょう。
建物比率が低い場合は、法人税の節税効果が低くなってしまうかもしれません。事前に建物比率がどのくらいになるかを確認した上で名義変更することをオススメします。