6月13日の外国為替市場は一時、1ドル=135円台まで下落。1998年10月以来、約24年ぶりの円安加速で、物価や原材料の価格上昇が止まらず、円安による収益圧迫が一段と強まりそうだ。東京商工リサーチが6月1日~9日に実施した「円安に関するアンケート調査」結果(有効回答数5667社)によると、5月上旬の円相場1ドル=130円前後の円安推移で、経営に「マイナス」と回答した企業は全体の約半数の46.7%に達した。

前回調査(4月、1ドル=122~124円台)では、円安が「マイナス」の企業割合は39.6%で、急激な円安進行で7.1ポイント上昇。一方、「プラス」の企業割合は3.0%(前回調査3.9%)、「影響はない」は28.4%(同29.5%)だった。規模別では、「マイナス」が中小企業の約5割(48.2%)を占めたのに対し、輸出や海外進出のウェイトが大きい大企業は37.7%で、大企業と中小企業の差は10.5ポイントと温度差が大きい。

「プラス」と回答した業種で、最も高かったのは「業務用機械器具製造業」の16.0%(50社中、8社)。次いで、「情報通信機械器具製造業」14.8%(27社中、4社)、「輸送用機械器具製造業」11.5%(78社中、9社)の順。輸出関連の製造業を中心に「プラス」の影響もみられるが、円安は原材料の輸入価格の上昇につながることもあって、構成比では全業種で2割を下回った。

一方、「マイナス」と回答した業種では、トップは「繊維・衣服等卸売業」の80.3%(66社中、53社)だった。以下、「織物・衣服・身の回り品小売業」80.0%(25社中、20社)、「食料品製造業」73.9%(192社中、142社)と続く。製品を海外からの輸入に頼るアパレル販売は、円安が「マイナス」と回答した企業が8割を超え、円安に伴うコスト上昇が経営収益に打撃となっている。

望ましい円相場については。最多レンジは、「110円以上115円未満」の39.3%。前回調査(4月)でも同レンジが最多の42.5%だった。急激な円安進行が止まらず、実態と15円以上乖離した1ドル=110円台前半を望ましいとする企業の割合は低下した。一方、1ドル=115円以上の為替相場を望ましいとする企業は41.9%で、前回調査の26.6%を15.3ポイント上回った。

上昇幅では「120円以上125円未満」(16.4%)は、前回調査から8.2ポイント増、「115円以上120円未満」(22.0%)は6.4ポイント増となった。ただ、中央値と最頻値は規模に関係なく前回調査と同じ110円だった。円安が「マイナス」の企業が約5割(46.7%)を占めるなか、希望レートより20円以上も円安が続くと、今後、コストプッシュが一段と強まり、企業の業績改善スピードが鈍化することも懸念される。

同調査結果は↓
東京商工リサーチ:一時、1ドル=135円を突破 1ドル=130円で企業の約半数が経営に「マイナス」~「円安に関するアンケート」調査~

(タックスコム提供)