東京商工リサーチが発表した「2022年3月期の国内106銀行の預貸率調査」結果によると、同期の国内106銀行の預貸率は61.9%(前年62.1%)だった。3月期では2年連続で低下し、調査を開始したリーマン・ショック前の2008年以降で最低を記録した。預貸率は、銀行預金の運用状況を示す経営指標の一つで、預金残高に対する貸出残高の比率。また、預金と貸出金の差を示す預貸ギャップは、362兆6373億円に拡大した。

コロナ禍での各種支援策などで2022年3月期の貸出金合計は589兆9628億円(前年比2.8%増)にとどまったが、預金合計(預金+譲渡性預金)は952兆6001億円(同3.2%増)とさらに積み上がり、預金の伸びが貸出金を0.4ポイント上回り、預貸率をさらに低下させた。預金と貸出金の差を示す預貸ギャップは362兆6,373億円(前年比4.0%増)に拡大し、調査を開始した2008年3月期以降では、過去最大となった。

預貸率が前年を上回ったのは48行(前年21行)、低下は58行(前年85行)だった。預貸率が低下した58行は、大手行が7行のうち4行、地方銀行が61行のうち40行、第二地銀が38行のうち14行で、地方銀行での構成比は65.5%に達した。預貸率が低下した58行のうち、9割以上(構成比96.5%)の56行で預金が増加した。一方で、貸出金が減少したのは19行(同32.7%)だった。

業態別の預貸率は、業態間で異なる動きがみられ、大手行は前年と同水準の53.7%だった。一方で、地方銀行は72.8%(前年73.6%)と前年より0.8ポイント低下し、2年連続で前年を下回った。地方銀行の貸出金は前年比2.5%増(232兆3060億円→238兆2012億円)だったが、預金が同3.6%増(315兆4835億円→327兆1515億円)と伸び率が大きく、預貸率を押し下げた。

第二地銀は76.2%(前年76.6%)で、前年より0.4ポイント低下し、2年連続で前年を下回った。預金が前年比2.3%増(67兆713億円→68兆6440億円)に対し、貸出金は同1.8%増(51兆3871億円→52兆3311億円)にとどまり、預貸率は低下した。銀行別で預貸率が最も低下したのは、十八親和銀行の16.5ポイント低下(76.5→60.0%)。一方、預貸率が最も上昇したのは、きらぼし銀行の7.7ポイント上昇(78.7→86.4%)だった。

同調査結果は↓
東京商工リサーチ:『2022年3月期 預貸率』調査  国内106銀行(単独決算)

(タックスコム提供)