(月間社長のミカタより)

日本税理士会連合会の税制審議会はこの程、資産移転の時期に中立的な相続税・贈与税の在り方についての審議内容を取り纏め、神津信一会長に答申した。

一部省略。

報告書では、次世代への資産移転が進まないのは経済的不安などの要因が大きく、税制のみの問題ではないとしつつも、ニーズに応じて資産移転できるような税制のインフラを整備しておくことは重要だと指摘した。

その上で、戦後から徐々に拡大されてきた暦年課税の基礎控除額が20年間にわたり110万円で据え置かれていることに着目し、「基礎控除の額は、資産の移転に障害とならない水準に引き上げることを検討する必要がある」と提案した。

現行制度では3年となっている贈与財産の持ち戻し期間を長期化することで相続税と贈与税の一体化を図るべきと提案した。

報告書は、「基礎駆除額以下の贈与について、税務当局はその情報を有していないこと、納税者においては申告義務がないことから、少額の贈与のすべてを管理・記録・補足して加算制度の対象とすることは実際問題とすると極めて困難」と指摘。

さらに、「少額な贈与に係る執行上の問題を解決しない限り、累積課税制度を導入しても適正な運用を行うことは困難であり、相続税と贈与税の一体化措置を構築することにも支障が生じる」として、少額贈与の扱いが資産税改革を考えるうえで大きな障害になるとの認識を示した。