日本は世界的にも群を抜く「長寿企業大国」。業歴が100年を超える企業は長い歴史のなかで、戦争や相次ぐ災害、需要の変化など幾多の困難を乗り越えてきた。国内外を問わず企業を取り巻く環境が急激に変化する現在、長寿企業から事業継続の要諦を学ぶ意義は大きい。そこで帝国データバンクでは、業歴が100年を超える「100年経営企業」にアンケート調査を実施し、1090社から回答を得た。
その調査結果によると、100 年以上に亘り事業を継続できた理由(複数回答)としては、「取引先・顧客との信頼関係」を73.8%が挙げて最多、以下、「時代に合わせた事業内容・構成の変化」(64.4%)と答える企業が多かった。時代に合わせた変化を厭わず、顧客に新たな価値を提供し続けることで信頼を獲得してきた100年経営企業の姿がうかがえる。一方、半数超の企業が無理に成長を追わない「身の丈経営」(51.2%)を挙げた。
また、事業の主力事業については、「現在も創業事業が主力」が50.0%、「創業事業から応用・派生した事業」が39.2%、「創業事業とほとんど異なる事業」が10.7%を占めた。半数は、創業時から事業内容を変化させているが、「現在も創業事業を主力とする企業」も、実は時代に合わせて製品の改良や新しい売り方への取組みを続けていることが多い。こうした「変化する力」が、事業を長く継続させるために欠かせない要素となっている。
これら 100 年経営企業が今後積極的に取り組みたいと考えること(複数回答)としては、「新製品・商品・サービスの開発」が 38.0%と最も多かった。それだけでなく、「SDGs、サステナビリティ経営への取組み」(32.7%)のような今日的課題にも積極的に取り組む姿勢が見られた。以下、「組織改編や業務プロセスの改善(30.1%)や「新規事業への進出」(27.2%)が続いた。
長寿企業は、ともすれば保守的な印象を持たれがちだが、実際には、現状にとどまらず、常に将来を見据えて変化に挑んでいる企業が多い。こうした変化を厭わぬ姿勢を有していることが「勝ち残る企業の条件」の大きな要素となっている。
同調査結果は↓
帝国データバンク:特別企画:「100 年経営企業」アンケート調査
(タックスコム提供)