信金中央金庫がこのほど発表した最近の新卒・中途採用の動向によると、近年の採用動向を概観してみたところ、若年人口の減少や産業構造の転換が加速するなか、第一に「ダイレクト採用」の普及がみられる。一般に企業が実施する採用手法は、より多くの就職・転職希望者を募り、その中から候補者を絞っていくスタイルとされる。一方、ダイレクト採用は企業が自ら候補者を探し直接アプローチする採用スタイルとなる。

ダイレクト採用は、就職・転職サイトに登録する就職・転職希望者の中から条件に見合った候補者をピックアップし、同サイトの運営企業経由でスカウトメールを送るケースが多い。また、候補者を絞った採用スタイルのため大量採用に向かず、専門家人材などの中途採用に適すると言われる。中途採用市場を中心に金融機関の間でもダイレクト採用は拡大している。

ビジネスモデル再構築が急務な金融機関は、自行庫内に不足する専門家人材を外部から取り込みたいとの考えが強まってきた。この流れは、新卒採用にも広がり始め、特に専門職などのコース別人事制度を導入する大手金融機関で顕著で、今後は、大手金融機関などから従来型の大量採用と専門家人材に絞ったダイレクト採用を組み合わせた採用手法が普及していくと予想。これは中途採用市場だけでなく、新卒採用市場でも同様と予想される。

また、コロナ禍により従来型の採用面接が難しくなるなか、情報収集の一環として社員クチコミ情報を活用する就職・転職希望者が増えている。新卒・中途採用を取り巻くもう一つの動向が就職・転職希望者の間で社員クチコミ情報による情報収集の定着だ。社員クチコミ情報とは、会社説明会などでは聞くことのできない社員(元社員を含む)の生の声を集めたサイトである。

就職・転職希望者は、よりリアルな企業風土などを知ることができ、入社後のミスマッチを防ぐ効果があるとされる。既に就職活動時の情報源として、社員クチコミ情報の利用は定着している。この傾向はコロナ禍による採用面接の減少などを受け、さらに強まりつつある。なお、同サイト最大手となる「OpenWork」に登録する2022年3月卒業予定の就活生だけをみても、約25万人に達するほどだ。

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信金中央金庫:最近の新卒・中途採用の動向について

(タックスコム提供)