日本政策金融公庫が発表した「食品産業動向調査(2022年1月調査)」結果(有効回答数2386社)によると、2021年下半期の食品産業の景況DIは、前回調査(2021年上半期)から0.1ポイント上昇し▲9.2 となった。2022年上半期は、さらに4.7ポイント上昇し▲4.5 となる見通し。業種別景況DIは、製造業と飲食業で上昇。特に、飲食業は2018年下半期からマイナス値が続いていたが、今回調査でプラス値に転じた。

他方、小売業は2020年上半期よりプラス値が続いていたが、今回調査で大幅に低下し、マイナス値となった。また、2022年上半期の業種別景況DIは、すべての業種で上昇する見通し。中でも、今回調査でプラス値に転じた飲食業は、さらに大幅に上昇しプラス幅が拡大する見通し。設備投資DIは6.2となり、新型コロナウイルス感染症拡大前(2019年1月時点/7.0)と同水準に回復した。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、「売上高にマイナスの影響」とする回答割合は、製造業で低下。他方、卸売業、小売業、飲食業では、割合に大きな変化はみられない。なお、飲食業では、約9割が「売上高にマイナスの影響」とする回答となった。製造業における「売上高にマイナスの影響」とする割合は、すべての売上階層で低下。特に、売上高10 億円以上の各売上階層においては、2020年7月調査以降、継続して低下している。

食品産業におけるIT技術の導入状況は、44.7%が「取り組んでいる」と回答し、「現在は取り組んでいないが、今後検討したい」を合わせた75.3%がIT技術の導入に前向きとなっている。業種別でみると、IT技術の導入に「取り組んでいる」割合は、小売業(55.0%)で最も高く、製造業(42.4%)で最も低い。食品製造業では、売上規模が大きくなるほど「IT技術の導入に取り組んでいる」割合は高くなる傾向となった。

IT技術を導入している業務は、製造業、卸売業、飲食業で「経理・財務」、小売業で「人事・労務」がそれぞれ最も高くなった。また、IT技術の導入における課題(複数回答)は、すべての業種で「スキルを持った人材の不足」との回答割合が最も高く、次いで「投資コストの負担が大きい」となった。卸売業では他業種と比較して「業界にアナログな文化・価値観が定着」との回答割合が高くなった。

同調査結果は↓
日本政策金融公庫:食品産業動向調査(令和4年1月調査)

(タックスコム提供)