新型コロナ関連の資金繰り支援策で、2021年の建設業の倒産は1065件(前年比▲14.5%減)と過去30年で最少だったことが、東京商工リサーチの調査で分かった。しかし、法的手続き準備中などを含む「新型コロナ関連破たん」はジワリと増加をしている。工期の長期化やずれ込みに加え、資材高騰や人手不足、支援効果の薄れなど複層的に絡み合い、小康状態の倒産が反転する兆しも見え始めた。
3月2日、全業種の新型コロナ関連破たんが3000件に達した。当初、外出自粛や営業時間の制限などで、消費関連の飲食業や宿泊業、アパレルの破たんが大半を占めていた。一方、建設業のコロナ破たんは2020年4月に初めて発生し、以降も月間10件前後の低水準にとどまっていた。だが、日本より先に新型コロナ感染が広がった中国やアジアなどの海外工場が操業停止や港湾荷役がストップした。
すると、たちまち建材や部材などサプライチェーン寸断の影響が日本に押し寄せた。納期のズレは工期に影響し、体力のない工事業者のコロナ破たんが発生。2020年12月は月間20件に達した。資材仕入の混乱も次第に収まる兆しが見え始めた2021年初め、今度は日本でも感染拡大が本格化し、三密回避で工期が長期化。また、コロナ禍で予定していた工事の中止も増え、21年6月と11月は月間最多の22件のコロナ破たんが判明した。
追い打ちをかけるように鋼材など建設資材や燃料の高騰、人手不足も重なり、2022年2月は23件と最多を更新した。新型コロナ関連破たんが3000件に達した3月2日、業種別の最多は、「飲食業」の517件(構成比17.2%)。次いで、「建設業」が318件(同10.6%)と全体の1割を占めた。約1年前の2021年2月、コロナ破たん1000件時の建設業は83件(同8.3%)で、コロナ破たんが広がっている。
建設業のコロナ破たん318件の業種を細分化すると、最多は「建築工事」の66件。コロナ禍で分譲マンション開発が鈍ったほか、資材高騰などの影響も響いた。次いで、「建築リフォーム工事」の35件、「内装工事」の32件と続き、建築工事の落込みに連動して付帯工事の破たんも目立った。元々経営体力が乏しい一般個人を対象とした小規模の工事業者は、新型コロナ感染拡大で、工事の中止や減少で資金繰りを維持できないケースが増えてきた。
コロナ破たん318社を分析すると、資本金別では1000万円未満(個人企業含む)が191社(構成比60.0%)と6割を占め、小規模な工事業者が多いことがわかった。だが、負債額別(判明分)では様相が少し異なる。負債1億円未満の小規模倒産は165件(同52.3%)、1億円以上は150件(同47.6%)と拮抗するからだ。なかでも、1億円以上5億円未満は125件(同39.6%)と約4割を占めた。
同調査結果は↓
東京商工リサーチ:倒産増の兆し、建設業のコロナ破たんがジワリ増加
(タックスコム提供)