帝国データバンクがこのほど発表した「人手不足に対する企業の動向調査」結果(有効回答数1万1981社)によると、現在の従業員の過不足状況は、正社員について「不足」していると回答した企業は47.8%(前年同月比11.9ポイント増)となった。新型コロナウイルスの影響を受けて、大きく低下していた企業の人手不足感は、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年2月と同水準まで上昇している。
一方、過不足状況が「適正」と回答した企業は 42.0%(前年同月比▲4.5ポイント)、「過剰」と回答した企業は10.3%(同▲7.3ポイント)とそれぞれ低下している。また、「不足」している企業を業種別にみると、「情報サービス」(65.7%)、「飲食店」(65.1%)、「建設」(62.6%)、「メンテナンス・警備・検査」(60.8%)、「農・林・水産」(60.6%)など7業種において、正社員が不足している企業は6割を上回っていた。
一方、非正社員が「不足」していると回答した企業は28.0%(前年同月比8.9ポイント増)となった。正社員の人手不足割合と同様に、非正社員も新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年2月を上回る水準まで上昇している。また、過不足状況が「適正」と回答した企業は63.2%(同▲2.1ポイント)、「過剰」と回答した企業は8.7%(同▲6.8ポイント)となり、それぞれ低下した。
業種別にみると、「飲食店」(76.6%)は唯一7割以上の企業で非正社員が不足していると回答。「飲食店」は2021年10月調査時点で63.3%まで上昇していたが、その後も上昇傾向が継続。2022年1月は、再びまん延防止等重点措置による影響もみられ、2021年12月から▲1.4ポイントとなったものの、依然として高水準で推移している。企業からも「人手不足がどんどん加速している」(中華料理店)といった声が挙げられている。
国内景気はオミクロン株の感染拡大を受けて、一時的な落ち込みがみられるものの、今後はその感染抑制とともに緩やかな回復が見込まれる。そうしたなか、半数近い企業で、正社員不足との認識を示した。また、アルバイト等の非正社員も、「飲食店」などの個人消費関連で不足の割合が高まってきている。今後はこうした人手不足や、さらに原材料の不足・価格高騰などが企業の供給制約となり、国内景気の下振れリスクとなる可能性が高い。
同調査結果は↓
帝国データバンク:「人手不足に対する企業の動向調査」結果
(タックスコム提供)