2021年12月において正社員の過不足感を「不足」と回答した企業割合は53.2%となったことが、日本政策金融公庫が取引先を対象に実施した「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果(有効回答数5640社)で分かった。「適正」は37.3%、「過剰」は9.6%。「不足」の割合は、2020年実績から16.6ポイント上昇した。業種別にみると、「建設業」(70.6%)、「運送業(除水運)」(65.4%)、「情報通信業」(63.3%)などで「不足」の割合が高い。

一方、2021年12月における非正社員の過不足感を「不足」と回答した企業割合は33.4%となった。「適正」は58.6%、「過剰」は8.0%となっている。「不足」の割合は、2020年実績から7.2ポイント上昇した。業種別にみると、「宿泊・飲食サービス業」(69.4%)、「倉庫業」(40.0%)、「サービス業」(34.0%)などで「不足」の割合が高く、対して、「水運業」(17.9%)や「不動産業」(23.9%)では低い。

人手不足の影響については、「売上機会を逸失」(36.9%)と回答した企業割合が最も高く、次いで「残業代、外注費等のコストが増加し、利益が減少」(24.7%)、「特になし」(16.8%)、「納期の長期化、遅延の発生」(14.8%)の順。人手不足への対応(2つまで回答)については、「従業員の多能工化」(46.6%)が最も高く、次いで「業務の一部を外注化」(34.9%)、「残業を増加」(34.7%)の順となっている。

2021年12月の正社員の給与水準をみると、「上昇」と回答した企業割合は41.1%と、2020年実績から9.9ポイント上昇したが、2年連続で半数を下回った。業種別にみると、「倉庫業」(51.5%)、水運業(48.5%)、情報通信業(48.0%)などで「上昇」の割合が高い。2022年見通しをみると、「上昇」と回答した企業割合は44.4%となり、2020年調査における2021年見通し(29.8%)を大きく上回った。

正社員の給与水準上昇の背景については、「自社の業績が改善」と回答した企業割合が35.0%と最も高く、次いで「採用が困難」(19.3%)、「最低賃金の動向」(18.1%)の順となっている。業種別にみると、「自社の業績が改善」と回答した企業割合は、「業務用機械」(58.8%)、「電子部品・デバイス」(47.6%)などで高い。「採用が困難」は、「紙・紙加工品」(33.3%)、「宿泊・飲食サービス業」(32.8%)などで高い。

同調査結果は↓
日本政策金融公庫:「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果

(タックスコム提供)