元国税調査官・税理士の松嶋です。
税務雑誌等から注目すべき税務記事を紹介します。
2021年12月13日 税のしるべ より。
確定申告期に入りましたので、確定申告についての注意事例。給与所得以外の所得が20万以下の給与所得者であれば、原則として申告不要となりますが、例えば給与と不動産所得や事業所得があった場合、不動産所得や事業所得の金額が20万以下かどうかの判断で、青色申告特別控除をどのように適用するかの質疑事例が掲載されています。
まず、10万円控除の場合。これは以下の通り自動的に控除されるものですから、10万円控除した後の金額で判断することとし、それが20万円以下なら申告する必要もないという結論になります。
租税特別措置法25条の2(青色申告特別控除)1項
青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている個人のその承認を受けている年分~の不動産所得の金額,事業所得の金額又は山林所得の金額は~不動産所得の金額,事業所得の金額又は山林所得の金額から次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除した金額とする。
一 10万円
二 ~不動産所得の金額,事業所得の金額から又は山林所得の金額の合計額
一方で、55万控除(65万控除)は期限内申告要件がありますので、これらを適用した結果、控除後の金額が20万円以下になっても申告は必要になります。
租税特別措置法25条の2(青色申告特別控除)3項
青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている個人で不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営むもの~が~当該事業につき帳簿書類を備え付けてこれにその承認を受けている年分の不動産所得の金額又は事業所得の金額に係る取引を記録している場合(これらの所得の金額に係る一切の取引の内容を詳細に記録している場合として財務省令で定める場合に限る。)には,その年分の不動産所得の金額又は事業所得の金額は~不動産所得の金額又は事業所得の金額から次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除した金額とする。
一 55万円
二 ~不動産所得の金額又は事業所得の金額の合計額
その他、青色申告特別控除については、以下の通達があることも押さえておきましょう。この通達により、損失が生じている所得はカウントしないため、事業所得が△30万、事業的規模の不動産所得が80万といった場合には、まず80万から55万控除(65万控除)を受けることができると考えられます。
租税特別措置法通達25の2―1(青色申告特別控除額の計算等)
措置法第25条の2第1項又は第3項の規定による青色申告特別控除額の計算等については,次の諸点に留意する。
(1) 措置法第25条の2第1項第2号に規定する不動産所得の金額,事業所得の金額及び山林所得の金額又は同条第3項第2号に規定する不動産所得の金額及び事業所得の金額は,損益通算をする前のいわゆる黒字の所得金額をいうのであるから,これらの所得の金額の計算上生じた損失の金額がある場合には,その損失の金額を除外したところにより同条第1項第2号又は同条第3項第2号の合計額を計算すること