日本経団連が18日に発表した「2021年1~6月実施分の昇給・ベースアップ実施状況調査」結果(有効回答数461社)によると、賃金決定にあたって主として考慮した要素(2つ回答)は、「企業業績」(63.8%)が最多、「世間相場」(36.2%)が続く傾向に変化はない。一方で、「人材確保・定着率の向上」が減少(24.1%、前年比▲2.9ポイント)し、「雇用の維持・安定」が増加(22.4%、5.6ポイント増)するなど、若干の変化がみられた。

月例賃金引上げの実施状況をみると、2014年から2019年まで「昇給・ベースアップともに実施」した企業は5割超で推移してきたが、2020年は39.2%、2021年には30.9%に減少した。しかし、「昇給のみ実施」した企業が69.1%にのぼっており、すべての回答企業が定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給、ベースアップなど、何らかの方法により月例賃金の増額改定を実施している。この傾向は、2014年から8年連続となっている。

2021年の月例賃金の引上げ額・率は5887円・1.93%で、額・率ともに前年を下回り、2013年以来8年ぶりに6000円・2%を下回った。また、昇給・ベースアップ区分のある企業の2021年の月例賃金の引上げ額・率(6038円・1.96%)の内訳は、昇給が5672円・1.84%、ベースアップが366円・0.12%だった。昇給は5000円台半ばから6000円台前半で推移する傾向に変わりはなく、ベア分は2年連続して1000円未満、0.1%台となった。

月例賃金の引上げ額の分布状況をみると、「5000 円台」(27.3%)が前年比プラス 10.4 ポイントと増加して最も多く、次いで「4000 円未満」(18.4%)、「6000 円台」(16.8%)となった。また、1万円以上の割合は 6.8%で、前年(6.7%)とほぼ同水準となっている。

同調査結果は↓
経団連:2021年1~6月実施分「昇給・ベースアップ実施状況調査結果」の概要

(タックスコム提供)