帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、12月の倒産件数は501件で、前月比では7.1%増となったものの、前年同月比では▲9.2%となった。12月としては2000年以降最少、1999年以前と比較しても1989年(平成元年)以来32年ぶりの低水準で推移した。引き続き倒産が抑制された状況が続き、7ヵ月連続で前年同月を下回った。

一方、負債総額は975億5900万円(前月814億9700万円、前年同月1450億300万円)となり、前月比では19.7%増となったが、前年同月比では▲32.7%の減少となり、2ヵ月連続で前年同月を下回った。負債5000万円未満の倒産は294件、前年同月比▲14.8%の減少となり、小規模倒産が約6割を占める。負債額最大の倒産は、D-PROX(株)(東京都、破産)の約176億円だった。

業種別にみると、7業種中5業種で前年同月を下回った。なかでも小売業(前年同月132件→101件、▲23.5%)では緊急事態宣言の解除以降、人出増加や消費回復の影響もあり、アパレルなどの衣料品小売(11件)が減少。サービス業(同136件→110件、▲19.1%)でも、7ヵ月連続の前年同月比減となるなどB to C業種で減少傾向が続く。一方、運輸・通信業(前年同月16件→27件、68.8%増)では貨物自動車運送(20件)で増加した。

負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は294件(前年同月比▲14.8%)で、構成比は58.7%を占めた。資本金規模別では、個人経営と資本金1000万円未満(個人事業主を含む)の合計が334件(同▲9.7%)で構成比は66.7%を占めた。負債5000万円未満の倒産では、サービス業(80件)が構成比27.2%(同▲2.4ポイント)を占め最多、小売業(68件)が同23.1%(同▲2.4ポイント)と続く。

地域別にみると、9地域中5地域で前年同月を下回った。なかでも関東(前年同月231件→206件、▲10.8%)は、東京都(同120件→105件)や埼玉県(同35件→21件)などの減少で前年同月比二ケタ減となった。近畿(同139件→117件、▲15.8%)も同様に7ヵ月連続の二ケタ減となり、大幅な減少傾向が続く。東北(18件)、北陸(10件)、九州(35件)の3地域も減少となった。

倒産状況の概要は↓
帝国データバンク:倒産集計一覧 2021年 12月報

(タックスコム提供)