厚生労働省は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金の引上げを図るため、「業務改善助成金」制度を設けている。このたび、新型コロナの影響により、特に業況が厳しい中小企業・小規模事業者を対象に、特例的に助成対象となる経費の範囲を拡大し、生産性向上に資する設備投資などのほかこの取組みに関連する経費も含め、これらに要した費用の一部を助成する「業務改善助成金の特例コース」を新設した。
この特例コースは、新型コロナの影響により売上高等が30%以上減少している中小企業・小規模事業者が、2021年7月16日から同年12月31日までの間に事業場内最低賃金を30円以上引き上げ、これから生産性を向上するための設備投資などを行う場合に、その設備投資などや関連する経費に要した費用の一部を助成するもの。受付はこの1月13日から始まっており、申請締切りは2022年3月31日まで。
支給の要件は、(1)就業規則等で引上げ後の賃金額を事業場の労働者の下限の賃金額とすることを定めている(就業規則等がない場合は、「労働者の下限の賃金額についての申出書」の提出でも認められる)、(2)引上げ後の賃金額を支払う、(3)生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施することにより業務改善を行い、その費用を支払う、(4) 解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないこと、など。
助成額は、生産性向上のための設備投資等にかかった費用に助成率3/4を乗じて算出した額(千円未満端数切捨て)。 なお、引き上げる労働者数に応じて助成の上限額が定められており、「1人」は30万円、「2~3人」は50万円、「4~6人」は70万円、「7人以上」は100万円。また、助成対象となる経費は、生産性向上等に資する設備投資等のほか、業務改善計画に計上された「関連する経費」も助成対象となる。
生産性向上に資する設備投資等は、機械設備、コンサルティング導入、人材育成・教育訓練などが、関連する経費は、広告宣伝費、汎用事務機器、事務室の拡大、机・椅子の増設などが挙げられる。関連する経費は、生産性向上に資する設備投資等を行う取組みに関連する費用について、業務改善計画に計上されたものに限り対象となる。関連する経費であっても事務所借料、光熱費、賃金、交際費、消耗品などは助成対象とならない。
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厚生労働省:「業務改善助成金の特例コース」が新設されました
(タックスコム提供)