日経新聞:領収書の電子保存、義務化2年猶予 経理デジタル化遅れ
日経新聞にも明記されました。準備が一年で足りないため、2年猶予と。後は、宥恕規定という実務で厳しい解釈がなされる規定について、国税庁が空気読まない対応をしなければ、一安心といったところでしょうか。
一方で、頑張って対応した企業はシステム投資などで膨大なコストがかかってますから国に対する賠償請求みたいな話も出る可能性ありますね。かく言う私も、システムの見積りを取りましたが、かなり高額で導入を見送りました。しかし、高額の設備投資をした企業もあると思いますので、そうした企業にとってはごめんなさいでは済まない話でしょう。
いずれにせよ、本件では税制改正に大きな問題があることが二つ明らかになりました。一つは、財務省主税局に法律作る力がないことです。電子保存義務化はベンダーとの調整が必須ですが、それを怠っているとしか思えません。密室で制度を作る現実に限界が来ていることは相違ありません。
もう一つは、専門家の税制改正対応です。税制改正セミナーや税制改正テキストで高額な報酬を貰ったり、どこよりも早い税制改正解説をネットに挙げたりする方がいらっしゃいますが、本改正について十分な解説をした方は皆無でした。税調の資料をnews proからパクる(これは著作権侵害の恐れがあります)ことが税制改正解説と勘違いしたり、改正の解説なのに大綱をコピペするだけで現在や過去の制度を考慮せず未来しか解説しなかったりと、税制改正に対しては不十分な対応しかなされていないことが現実です。
このような現実があるからこそ、本制度に対する対応や問題点の指摘も遅れている訳で、専門家である税理士としても、税制改正対応を抜本的に見直すべきでしょう。そうしないと、クライアントを守れない時代です。