ITmedia:インボイス制度導入が店舗不動産の価値に影響する可能性について

影響を減らすために簡易課税を選択という方法もありそうですね

不動産に関係する消費税課税は、売買時の建物価格、事業用建物賃貸の賃料、財・サービス販売などで、納税義務者は課税売上が年間1000万円を超える事業者のほうが多いが、用途・業種によっては益税減少の影響が生じると思われる。その一つが美容室である。

インボイス制度開始後は、業務委託先の美容師が免税事業者のままでは、店舗は仕入額控除が受けられない。美容師側は課税業者に転じるとともに、減少する益税分は業務委託報酬の支払い割合の引き上げなどで補填がされ、店舗の事業収支は減益となる場合が多いと思われる。店舗運営において、人件費や固定費の変化は重要である。制度変更の影響は、エリアや用途に偏って現れることがあるが、この場合、表参道(※2)エリアへの影響が強いと考えられる。

業務委託をしている美容室であっても、インボイス制度の導入によって、直ちに事業が行き詰まるとは考えにくい。しかし、美容業全体の事業利益は引き下がると予想され、契約更新のタイミングで事業継続を断念するなど、美容室が定着する率は低下するかもしれない。頻繁なテナントの退去は、不動産の収益獲得能力を低下させる。エリアの主要テナント業種に対してインボイス制度導入の影響がある場合は、その業種が負担可能な賃料水準の動向に注意する必要があると思われる。