インフレ目標達成のひとつのカギとして、賃上げが重要視されてきたなか、政府・与党は 2022年度税制改正で賃上げを行った企業を対象とする税制優遇について、控除率の大胆な引上げなど、制度を強化すると表明。しかし、これまで新型コロナや原材料価格の高騰などの影響で厳しい経営環境が続いてきたなか、賃上げの実現は難しいとの声も聞かれる。そこで、帝国データバンクは「賃上げに関する企業の意識調査」を行った。

調査結果(有効回答数1651社)によると、賃上げ企業に対する税制優遇の強化が検討されているなか、自社における2022年度(2022年4月~2023年3月)の賃上げの見解は、「税制優遇幅にかかわらず賃上げを行う」と回答した企業は48.6%と約5割となった。さらに、税制優遇が大きければ79.4%の企業が賃上げに前向きだった。一方で、企業の8.1%は「税制優遇幅にかかわらず賃上げできない」と考えていた。

「税制優遇幅にかかわらず賃上げを行う」と回答した企業を規模別にみると、大企業では53.6%、中小企業では47.9%とそれぞれ約半数となっている。一方で、財務力が比較的弱い小規模企業は37.6%と全体(48.6%)より10ポイント以上低くなっている。さらに小規模企業においては賃上げできないと考えている企業が13.5%と、全体(8.1%)を大幅に上回っていた。

同アンケートの結果、企業の半数近くは政府の支援策の程度にかかわらず、賃金の引上げを予定していた。新型コロナの影響で緩和した人手不足感が再び高まりつつあるなか、多くの企業では従業員の定着・確保が再び重要な課題として浮かび上がっている。また、企業の賃上げにより家計の支出拡大を通じて企業の売上の増加につながることが期待できる。賃上げの実施で経済の好循環が生まれれば景気回復への道は遠くないと言えそう。

同調査結果は↓
帝国データバンク:【賃上げ】約5割の企業が賃上げ実施予定!

(タックスコム提供)