朝日新聞:中国から270億円流入 暗号資産で監視逃れ 国税が調査

中国では、人民元の国外送金に規制があり、個人の場合、年間で5万米ドル(約560万円)超の送金を行う際は一定の審査が必要だ。審査をパスするにはハードルが高いといい、中国の送金規制に詳しい森進吾弁護士(福岡県弁護士会)は「不動産投資を目的とした送金は審査を通らない可能性が高い」と指摘。3人は規制の「抜け道」として暗号資産に目をつけた可能性があるという。

中国人の投資家らが暗号資産(仮想通貨)を東京都内の業者に送金し、日本円に換金して投資資金を調達していたことがわかった。総額は2019年3月までの3年間で約270億円に上り、不動産購入などに充てられていた。暗号資産を規制の「抜け道」として、中国からの投資マネーが日本国内に流入する実態の一端が明らかになった。
税務調査を受けたのは東京都台東区の写真スタジオ運営会社。スタジオを運営する一方、暗号資産の交換所に口座を持ち、中国から送られた暗号資産を円に交換する事業も行っていた。
この会社は19年3月までの3年間に、中国国内の3人から送られた暗号資産「ビットコイン」約270億円分を円に換金し、換金額の一部を手数料として受領。3人から対話アプリ「微信(ウィーチャット)」で指示を受け、中国人投資家らが購入した複数の不動産の支払いを代行するなどしていた。こうした取引は帳簿に記録されていなかったという。
3人は中国で日本への投資を希望する富裕層らから人民元を集め、ビットコインに換えてこの運営会社に送る仲介役だったとみられる。