『つまり、この10年以内に未払い残業代請求の巨大なマーケットが生まれるということです』
杜若経営法律事務所/向井蘭氏

過去のファイブスターマガジンから、今読んでも税理士の先生方にとってお役に立つものを定期的にシェアしています。
今回はファイブスターマガジン(2020年9月号)「未払い残業代請求 号に乗り遅れるな!」より抜粋しました。
2020年4月、賃金消滅時効期間が最大2年から3年に延長されました。
さらに、いつかは未定ですが、賃金消滅時効が5年になることも決まっています。
ご紹介する記事は、この法改正を弁護士ビジネス側からマーケット拡大と捉えたものですが、
我々税理士としては、顧問先を守るため、リスク意識の低い社長への啓蒙が必要となってきます。
顧問先の経営の安定と成長の意識を、
税務・財務以外のことまで広げて、価値を提供できる税理士でいたいものですね!

―コロナの影響で、労働事件が増えているそうですね。
そうですね。直接的なものでは、コロナが直撃した会社がリストラを行い、
退職せざるを得なくなった社員が未払い残業代を請求してくるケースとか、
間接的なものでは、経営が悪化した企業で給与を減額し、それに対する抗議があったケースなど。
最近は、そうしたコロナ関連の案件が半数以上を占めています。

―今号の取材の中で、「経営状況の悪化によって、今まで見えてこなかったものが見えてくるようになる」
と話した先生がいます。労働問題では、そうした動きが顕著ですね。
そうですね。例えば、在宅勤務によって、パフォーマンスの低い従業員が分かってしまうなど、
経営状況が厳しい中、経営者が辞めてほしいと感じる社員があぶり出されていくようになっています。
反対に従業員側からすれば、会社の将来が見えにくかったり、
当てにならないと感じるようになって、心が離れていくケースもあると思います。

―そうした動きの裏側で、2020 年の4月1日を起算日とする賃金消滅時効期間の改正がスタートしました(当面は最大3年)。
向井先生は、2023 年頃から未払い残業代請求が急増するとお話されていますが、どのような背景があるのでしょうか?
2023 年に向けて未払い残業代の請求期間が3年になっていけば、弁護士の成功報酬が、
損益分岐点を越えていくようになります。
さらに、これはいつになるのかは決まっていませんが、賃金消滅時効が5年になることも決まっています。
2025 年には見直し議論が行われるため、2030 年までに5年に延長されることも十分に考えられます。
現在は訴訟外交渉による解決割合も増加する傾向にあるため、
弁護士が労働問題解決に費やす時間や労力が大幅に削減されていきますので、採算性の高い業務となっていきます。
つまり、この10年以内に未払い残業代請求の巨大なマーケットが生まれるということです。
弊事務所では、こうした需要の増加に備えて、直近で3名の弁護士増員を考えています。
ほかにも残業代裁判の業務の効率化や、料金表の整備なども進めています。
しかし今のところ、積極的に労働問題に取り組んでいこうという法律事務所の動きはほとんど見かけません。
ですから今が参入するチャンスではないかと思っています。

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出典:FIVE STAR MAGAZINE  第58号『2020年4月発「未払い残業代請求」号に乗り遅れるな!』