東京商工リサーチがこのほど発表した「飲食業倒産(負債1000万円以上)」結果によると、2021年1月~10月の飲食業倒産は557件(前年同期比▲23.6%減)で、コロナ禍の各種支援策が奏功し、5月を除く9ヵ月で前年同月を下回った。ただ、飲食業倒産のうち、新型コロナ関連倒産は260件と約5割(構成比46.6%)を占め、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けている。
飲食業は、消費増税や人手不足による人件費高騰などで、2019年9月以降、倒産は増加傾向にあった。2020年は新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言などで、休業や時短営業などを強いられ年間では過去最多の842件を記録。しかし、2021年に入るとコロナ関連の支援策が浸透し、倒産は低水準に抑制されている。ただ、新型コロナ関連倒産は260件と飲食業倒産の半数近く(構成比46.6%)を占める。
業種別は、最多が日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼肉店などの「専門料理店」の151件(前年同期比▲14.6%減)。次いで、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」130件(同▲13.3%減)、「食堂、レストラン」100件(同▲40.8%減)の順。居酒屋は、1月~10月では30年間で2020年同期(150件)に次ぐ2番目の多さだった。また、年間でも、過去2番目の2014年の141件を超える可能性が出ており、コロナ禍での居酒屋の苦境が鮮明となっている。
原因別の最多は、「販売不振」の477件(前年同期比▲23.1%減)。増加は、「事業外の失敗」の3件(同200.0%増)のみ。減少率の最大は「運転資金の欠乏」の4件(同▲55.5%減)で、コロナ禍での資金繰り支援の効果で減少した可能性がある。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は507件(同▲22.2%減)で、飲食業倒産に占める構成比は91.0%(前年同期89.3%)で、9割を超えた。
負債額別では、「5億円以上10億円未満」が11件(前年同期比37.5%増)で唯一増加。中堅規模の飲食事業者では、新型コロナの影響と支援策のミスマッチが倒産につながった可能性もある。ただ、最多は「1千万円以上5千万円未満」の414件(構成比74.3%)で、飲食業倒産の7割以上を占め、引き続き体力の乏しい小・零細企業が中心となっている。「10億円以上」は4件(前年同期比▲33.3%減)発生した。
同調査結果は↓
東京商工リサーチ:居酒屋倒産が過去2番目の多さ、新型コロナの影響が甚大(2021年1月-10月飲食業倒産動向)
(タックスコム提供)