帝国データバンクが発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、10月の倒産件数は512件で、前月からは横ばいも、前年同月比では▲20.9%と、5ヵ月連続の前年同月比二ケタ減少となった。また、1999年以前と比較しても、バブル期の1989年(588件)以来32年ぶりの低水準となった。業種別では、7業種中6業種で前年同月比減少。地域別でも、9地域中全地域で前年同月比二ケタの減少となった。

一方、負債総額は967億2700万円(前月914億2500万円、前年同月669億4800万円)となり、前月比では5.8%増、前年同月比でも44.5%の大幅増加となって、長田事業(株)などの大型倒産の発生もあり、3ヵ月連続の前年同月比二ケタ増加となった。負債5000万円未満の倒産は310件、前年同月比▲27.9%の減少。負債額最大の倒産は、長田事業(株)(静岡県、破産)の約112億円だった。

業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を下回った。なかでもサービス業(131件、前年同月比▲13.8%)では、宿泊業(5件、前年同月15件)などの減少が件数を押し下げた。小売業(112件、同▲31.7%)も、特に飲食店(47件)で5ヵ月連続の前年同月比二ケタ減少。緊急事態宣言を含む人流抑制策が全国で解除された影響もあり、対個人サービス業種を中心に減少が目立った。

負債規模別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は310件(前年同月比▲27.9%)で、構成比は60.5%を占めた。資本金規模別では、個人経営と資本金1000万円未満(個人事業主を含む)の合計が351件(同▲23.2%)で構成比は68.6%を占めた。業種別では、サービス業(87件)が構成比28.1%(同2.8ポイント増)を占め最多、小売業(74件)が同23.9%(同▲4.9ポイント)で続く。

地域別にみると、9地域中全地域で前年同月比二ケタの減少となった。全地域で減少したのは、10月としては22年ぶり。関東(193件、前年同月比▲16.8%)は、栃木県を除く1都5県で減少。特に東京都(90件)は、飲食店(7件、同▲42.0%)などの減少で、10月としては32年ぶりの100件割れ。近畿(120件、同▲30.6%)では、製造業(11件、同▲38.9%)や小売業(21件、同▲58.0%)の減少により、全体も大きく減少した。

同倒産状況の概要は↓↓
帝国データバンク:倒産集計 2021年 10月報

(タックスコム提供)