『資格を持っていない者から見ると、士業の先生方のポジションは、本来もっとよいところにあるのではないかということです』
株式会社エフアンドエム/代表・森中一郎氏

過去のファイブスターマガジンから、今読んでも税理士の先生方にとってお役に立つものを定期的にシェアしています。

今回はファイブスターマガジン(2020年5月号)「労働対価型ビジネスからの脱却!」より抜粋しました。
森中氏が代表取締役社長を勤める株式会社エフアンドエムは、
生命保険外交員向けの会計サービス(会員数7万人超)や
中小企業の管理部門向けコンサルティング(会員数6300社超)を提供するなど
士業に隣接したフィールドで事業拡大し、2000年には東証ジャスダックに上場を果たした企業です。

米国の会計事務所を視察し、労働対価型ビジネスから脱却する必要性を強く感じた同氏が
実践する「脱」労働対価型ビジネスへの取り組みを語ってくださった必見の記事です!

現在のモス・アダムス(視察した米国会計事務所の名称)の主力サービスは、
アドバイザリーサービス(節税戦略、業務効率化、リスク分析)、
ITサービス(業務システムから従業員端末までのサポート)、ファイナンス(銀行代理業務、投資銀行業務)です。
労働対価型ビジネスをベースにしながら、「非」労働対価型ビジネスで稼ぐというのが、
米国会計事務所の戦略のトレンドになっています。

報酬形態は時間チャージが主流で、会計事務所の従業員でも、
時間チャージは500ドル、年収は優に1千万円を超えていきます。

今回の視察で私が感じたのは、
米国の会計事務所が日本における外資系コンサルティング会社と同じようなステータスにあるということです。

両者は、入社するまでのハードルが非常に高く、従業員は高い誇りを持って働いており、
高付加価値のビジネスを提供しているという点で同じ空気を感じました。

米国の会計事務所が行っているこうしたサービスを、日本では誰が行っているのでしょうか?

例えば節税系のアドバイザリーサービスは、米国ではどの会計事務所でも行っています。

日本においても一部の先生方は同様のサービスを提供されていますが、
このサービスでもっとも実績を上げているのは、株式会社FPGさん(東証一部上場)です。
同社では、航空機やコンテナ、船舶などのリースと、節税金融商品の紹介サービスを提供しています。

直近の売上高は265億円で、営業利益は144億円。それでいて従業員は262人しかいません。

従業員一人あたりの売上は1億円を超え、営業利益は 5500万円弱となっています。

米国会計事務所が提供しているITサービスを日本で担っている一番手は、株式会社大塚商会(東証一部上場)さんです。

マイナンバー、電子申請、情報セキュリティなどのビジネスチャンスが続出している状況において、
同社は売上 8865 億円、営業利益621億円となっています。

営業に関わっている従業員数は 2910 名。営業職一人あたりの売上は3億463万円、営業利益は 2134万円に上っています。

アメリカではこうした収益性の高い業務を、有資格者が取り組んでいます。

このように本来、士業の先生方がするべきビジネスが、日本では民間の企業によって行われています。

そしてその民間企業は、そろって好業績を納めています。

私がお伝えしたいことは、私たちのような資格を持っていない者から見ると、
士業の先生方のポジションは、本来もっとよいところにあるのではないかということです。

■「脱」労働対価型ビジネスへのシフト
エフアンドエムにおける「脱」労働対価型ビジネスへの取り組みをご紹介させていただきます。

これまであまり外部の方には話をしていないものですが、

いかに私たちが「脱」労働対価型ビジネスと向き合い、戦ってきたかということをお伝えします。

とはいえ、エフアンドエムの事業ドメインは、

コンサルティングや記帳代行をはじめとして、労働対価型のビジネスが多くなっています。

その中で弊社では、できるかぎり正社員に労働対価型ビジネスをさせないという仕組みづくりに取り組んできました。

例えば記帳代行などの会計サービス事業部では、正社員は顧客満足を高めるためのフォロー業務に注力しています。

正社員一人あたりの担当顧客数は、およそ 1000 件です。担当顧客をフォローしながら顧客の新規拡大も行います。

一人あたりの年間平均顧客獲得件数は220件です。

これらを合わせた正社員一人あたりの年間売上高は平均 5100 万円になっています。

それ以外の単純作業はすべて、外部スタッフおよびパート、アルバイトスタッフなどの正社員以外のスタッフが行っています。

これらは業務の細分化を行い、積極的なIT投資をしながら、効率化を進めてきました。

こうした投資は、事業を始めた当初から積極的に行ってきています。

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出典:FIVE STAR MAGAZINE  第56号 『「脱」労働対価型ビジネスへシフトして、より付加価値の高いビジネスへ!』